2016年 11月 07日

(2)ロバート・キャンベル(R・ライト・キャンベル)/石田善彦 訳『L.A.で蝶が死ぬ時』読了

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~11月4日より続く

 質素なエンタテインメント、と言って通じるかしら? エンタテイン
メントとしての小説は普通、読者が主人公に感情移入するように書かれて
いる。読者をノセて、物語の流れに引きずり込もうとするものだが、いち
おう主人公であるらしい私立探偵ホイスラーの言動を記述するタッチの
平熱ぶりは、なんだか不思議である。

 他の登場人物についての記述と同じ程度の熱意、あるいは熱意のなさ
で書かれているので、読む側は果たして彼を主人公と認めていいものか
悩む。

 絡み合ういろいろなエピソードがすべて均一に平面的に記述されている
ので、映画化する場合のベースとしては重宝(?)かもしれない。
 タランティーノ『パルプ・フィクション』をちょっと思い出させもする、
並列的なエピソードの流れなので、どこを摘んで強調して組み合わせても、
それなりの語り口で描けそうだ。

 ホイスラーと恋人になりそうだった女優志願のシーラとが、それぞれの
過去を交互に語り合う場面なぞ、派手なデュエットである筈なのに、印象は
地味だ。
 ハードボイルドの私立探偵に何らのナルシシズムも付与しないところが、
不思議さの由縁だろうか?

     (ロバート・キャンベル/石田善彦 訳『L.A.で蝶が死ぬ時』
     二見文庫 1987初 J)





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by byogakudo | 2016-11-07 22:33 | 読書ノート | Comments(0)


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