2016年 12月 01日

(1)常盤新平『アメリカン ジャズ エイジ』再読中(?)

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 むかし読んだ気もするのは、たとえばブラック・ソックス・スキャンダル
の知識があるからだろうか。

 東京新聞・2016年11月29日・夕刊で、野茂英雄が「スポーティング・
ニューズ」誌の「大リーグの歴史を変えた40人」の37人目に入った記事
を読んだ。
 当然だろう。野球をやったこともライヴで見たこともないけれど、日本の
野球にフィットできなかったらアメリカに行く選択肢があることを身を以て
証明し、多くの日本人プレイヤーが野茂の後に続いたのだから(じつは、
マッシー村上は最初にアメリカでプレイした日本人だけれど、誰も後に
続かなかった、という知識まである)。

 「大リーグの歴史を変えた40人」の1位が、『アメリカン ジャズ エイジ』
にも登場するベーブ・ルース、2位が初めての有色人種プレイヤー、ジャッキー・
ロビンソン、これらは納得できる。しかし、3位が「ブラックソックス事件」の
とき、
<選手の永久追放など断固たる措置を取った初代コミッショナーのケネソー・
ランディス>なのには、八百長があった詳しい事情を知った今、少し疑問を持つ。
 この本で読むまで、たんに球界とギャングとの結びつき・腐敗としか見ていな
かったのだが。

 『嘘だと言ってよ、ジョー! ブラック・ソックス・スキャンダル』から
書き抜く。

 ホワイト・ソックスのオウナーであるコミスキーは、
<たたけるだけ安くたたいて労働力を買うといったタイプの経営者だった>。

 ヴェテラン投手のエディ・シコット(プロ14年、34歳。29勝)で6000ドルに
満たない。シューレス・ジョー・ジャクソンも6000ドル以下、三塁手のバック・
ウィヴァーも同じく。
 一塁手ガンディルと外野手フェルシュ4000ドル、レフティ・ウィリアムズと
遊撃手スウェード・リスバーグは3000ドル以下だ。
 1919年ころの最低生活費が、2000ドルくらい。

 同年度のワールド・シリーズの対戦相手、シンシナティ・レッズの選手たちは、
外野手エド・ラウシュが10,000ドル(レッズの強打者だが、ジョー・ジャクソン
よりはるかに劣る)、三塁手ヘイニー・グロー8000ドル、一塁手ジェーク・ドー
バート9000ドル。

<とにかく、ソックスの選手たちは、最高の技倆をもちながら、最低の給料に
 甘んじている。
  こういう状態が何年もつづいてきたのだから、選手間に不満が渦まいていた
 としても不思議ではない。しかし、自宅へ郵送されてくる契約書の内容に腹を
 たてても、コミスキーの非妥協的な態度の前には、選手たちの抗議も通用しな
 かった。契約を扱う球団の代表ハリー・グラビナーもなれたもので、「契約
 するか、それとも退団するか」の殺し文句を繰り返すばかりだった。
  この台詞(せりふ)はいわば脅迫に等しいのだが、選手たちには、絶対的な
 効果があった。選手は、野球協約によって、球団のものだったのだ。もしも
 選手が契約の条件を呑むのを拒絶すれば、規則によって、プロの世界で野球を
 することができなかったし、他球団もそうした選手を採用することは許されな
 かった。>(p19-20)

 こういう奴隷契約・状況にあったことを無視して、八百長をした選手たちだけに
厳しい処分を与えたのはフェアかしら? 野球以外の職業能力に長けているとは
思われない人々なのに、一罰百戒で球界の浄化を図る。
 「スポーティング・ニューズ」誌を直接読んでいないので、コミッショナー、
ランディスへの評価の詳細を知らないのだが、彼は結局、このころの球団経営者
たちの側に付いた、とも言えるではないか。

     (常盤新平『アメリカン ジャズ エイジ』 集英社文庫 1981初 J)

12月2日に続く~
 





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by byogakudo | 2016-12-01 21:07 | 読書ノート | Comments(0)


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