猫額洞の日々

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2016年 12月 03日

ピエール・ドリュウ・ラ・ロシェル/有田英也 訳『ドリュウ・ラ・ロシェル 日記1939-1945』に取りかかる

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 常盤新平さんの文庫本の次は何を読もうかなと、背後の低い本の
山を見る。なんとなくドリュウ・ラ・ロシェルを函から引き出し、
それにしても分厚いと思いつつ、ページを開いて読み出したら、
 「お正月に読み始める本じゃなかったの?」と、S。

 その手もあったかと思うが、もう読み出してしまったので、昼間
読む
のは、これにしよう。まだ、『編者解説』である。ドリュウ・
ラ・ロシェルの女性歴・説明と、女性たちの小説への登場ぶり、
彼の政治観の移ろいなどなど。
 桜井哲夫『「戦間期」の思想家たち レヴィ=ストロース・ブルトン・
バタイユ』の記憶
が抹消されないうちに読まなければ。

 もうすでにうろ覚えではあるが、あれを読んでいたおかげで__

<ドリュウは[注:『ジル』の]物語を実際より十二年遅らせ、一九三四
 年の暴動に重ねた。この時、彼にとっては、フランス再建の最後の
 機会が砕かれたのだった[議員の汚職に憤った極右と一部の共産党員
 が、コンコルド広場から国会に突入しようとし、多数の死傷者を出した
 事件]。>(p20下段)

__の、文末の脚注にも、たじろぐことなく読んでいける。

 それにしても、一冊本にした意図は分かるのだが、読み手の側に立てば、
分冊にすべきだったと思う。無線綴じで厚さ38mm、上下組である。
 上下巻・2冊にすれば、ソフトカヴァであっても、もっと開きがよくなり、
落ち着いて読めるのに。両手で開いてないと、すぐ閉ざされてしまう本の
造りは、世を拗ねた作家の精神に沿った装幀なのだろうか。

 一冊にしたのは、『パリ解放半世紀を経て__訳者後書きにかえて』
にある、
<安原氏が本書の価値を認め、全訳を快諾してくださったのは幸運だった。
 不穏当な箇所を削ったと誤解されずにすむからである。>(p617下段)

__完全版であることを強調するし、何よりも、作家の記述を納めるのが、
本である、本というオブジェであると、装幀:菊地信義は言いたいのかも
しれないが、本はまた、閉じられたままでは、十分に姿を現さない。
 オブジェ性の過剰な強調が、読者と作家を遠ざけることになるのでは、
なんのための装幀だろう? 
 分冊と一冊本とではコストがちがうからなのか?

     (ピエール・ドリュウ・ラ・ロシェル/有田英也 訳
     『ドリュウ・ラ・ロシェル 日記1939-1945』
     メタローグ 1994初 函 帯)





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by byogakudo | 2016-12-03 21:20 | 読書ノート | Comments(0)


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