2016年 12月 10日

町山智浩/柳下毅一郎『ファビュラス・バーカー・ボーイズの地獄のアメリカ観光』読了

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 元版のムックは1999年刊行、ウェイン町山(町山智浩)+ガース柳下
(柳下毅一郎)=ファビュラス・バーカー・ボーイズの記念すべき初単行本
を、やっと、文庫版で読む。今から17年くらい前のおたくのためのアメリカ
旅行記。

 たとえば、『ロサンジェルス篇_1』の『ハリウッド大通り 徹底攻略』では
ルーズベルト・ホテルに行って「シネグリル」というレストランを紹介する__

ウェイン あそこで『恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ』
 (89年)のミシェル・ファイファーが、グランドピアノの上で歌うシーンを
 撮影したんだよね。俺たちもファビュラス・バーカー・ボーイズだぞ! 
  って言って歌わせてもらおうよ。>(p49)

 町山智浩・1962年生まれ、柳下毅一郎・1963年生まれ。1999年ころは
ふたりとも30代半ば、若くて元気で、趣味・指向・性向が何も変わってない。

 『ラスヴェガス篇』の『ラスヴェガス馬鹿モノ見遊山』での対話__

ガース 結局WASPなんだよね。
 ウェイン 二十世紀はじめにはすでにアメリカの資本や土地はWASPに
 独占されてたから、あとからアメリカに来たユダヤ系やイタリア系は、
 しかたがなく[注:ユダヤ系が]ハリウッドで映画作って、[注:イタリア系が]
 ラスヴェガスでバクチやったんだけど、結局、全部WASPにブン取られ
 ちゃった

 ガース ユダヤ系はかつて映画会社のオーナーだったのに、今や資本家の下で
 コキ使われるプロデューサーに逆戻り。
 ウェイン その結果、映画もカジノと同じでファミリー向けになっちゃった。
 どこに男の夢がある〜。
 ガース もうその歌誰も知らないって。>(p292-293)

 『イースト・コースト篇 ボルチモア、フィラデルフィア、ニューヨーク』
の『ジョン・ウォーターズの悪趣味御殿・拝見!』後の対話__

ガース ジョン・ウォーターズも、郊外の中流家庭に生まれたわけで。
 本当に上品に育てられた。
 ウェイン ただ彼はゲイだった。[略]おまけに厳格なカソリックの家柄だし。
 だから最初は交通事故や万引きにハケ口を求めたけど、ゲイじゃないけど
 変態だったりバカだったりして(笑)生きづらい連中と出会って、彼らと映画を
 作ることで救われたんだと思うよ。ウォーターズは基本的に育ちがいいし、
 上品な美意識を持ってるから、モラルに反したことにものすごく罪悪感がある。
 でも、だからこそスリリングな解放感があったんだろうな。でも、今は、妹と
 ヤッてようが、娘とヤッてようが、ニワトリとやってようが、そんな家族が
 真っ昼間っからテレビのトークショーにバンバン出てるんだから。
 ガース 「後ろめたさってものがないのかね、君」って思うんだろうね。
 「悪趣味とテイストレスは違うんだ」ってウォーターズが言うのは、そういう
 ことなんでしょ。>(p190-191)

__そういうことだ。

     (町山智浩/柳下毅一郎『ファビュラス・バーカー・ボーイズの
     地獄のアメリカ観光』 ちくま文庫 2013初 J)





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by byogakudo | 2016-12-10 19:02 | 読書ノート | Comments(0)


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