2016年 12月 15日

(1)サイモン・ブレット/飯島宏 訳『邪魔な役者は消えていく』を読み始める

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 (長谷川如是閑とドリュウ・ラ・ロシェルはどこへ行った?)

 Sもダグラス・アダムスを読んでいる。巻数でいえば、わたしを先行
している。
 彼がアダムスをweb検索していたら、サイモン・ブレットの名前が出て
きたそうで、どうだろう、面白いかなと言う。むかし、ミセス・パージェター
ものを読んでるが、それより、1冊しか読んでない(し、忘れてしまった)
が、チャールズ・パリス・シリーズの方がSも楽しめるんじゃないかと思って
『邪魔な役者は消えていく』を手にいれた。
 でも、先に読んだSは退屈したみたい。

 そうね、たしかに話がなかなか始まらない。あんまり売れてない中年の
俳優、チャールズ・パリスの人生模様、1975年ころのイギリス演劇界事情
などに筆が費やされ、半分近く来たのに、物語がスタートしてない。何が謎
なのか、それがまず判然としないミステリである。

 主人公、チャールズ・パリス(47歳)は、娘のような若い女優から頼まれる。
 彼女と演劇界の大立て者とが写っている猥褻写真を脅迫者から買い取った
ので、大立て者に渡して安心させたいのだが、彼は彼女が脅迫者の一味と思い
込んでいるのか、会ってくれない。だから、彼女の代わりに写真を渡す役目を、
昔なじみで心安いチャールズにお願いしていいかしら、と。

 父性愛を刺戟された(?)、保護本能に揺り動かされた(?)チャールズ・
パリスは、役目を果そうとしているのに、大立て者、マリウス・スティーンに
会えない。
 自邸に電話をすれば、執事だろうか、別邸にいるという。別邸に電話をすれば
留守録が答え、訪問してみても、扉を開ける者はいない。

<ふしぎな使命感が彼の「注:チャールズの]全身にみなぎっていた。それは
 名誉の感覚といってもよかった。彼は聖杯探索の旅を終えかけた円卓の騎士
 ガラハッドなのだ。マリウス・スティーンはすでに一週間にわたって彼の行く手
 に見え隠れしていた巨人であった。>(p129)

 聖杯伝説というより、カフカの『城』みたいに思える、今までの展開だが、
これはミステリなので、この後チャールズは死体を発見するのだろう、たぶん。

 わたしはミステリの本筋と離れた装飾部分が好きなので、退屈しない。
 日本語で"ワンルーム・マンション"と呼ばれる一部屋だけの居室は、
イギリスでは
<シッティング・ルーム(寝室兼居間)>(p13)、
<寝室と居間が兼用になった家具付きのベッドシッター>(p41)という
らしい。(フランスでは今でも英語風にステュディオと呼ぶのかしら?)

 このベッドシッターに離婚後のチャールズは住んでいるのだが、共同浴室
設備がすごい。

<小銭入れから五ペンス貨を取って、階段の最初の踊り場にあるバス
 ルームへ降り、まだ湯が沸いてないのを確かめてメーターにコインを
 入れた。>(p43)
 もっと昔に書かれたミステリでは、貸間のガス燈か何かがたしか、いちいち
コインを入れて何時間か(?)使えるシステムではなかったかな。

 あるいは元・奥さん宅に泊めてもらったチャールズが置き手紙をする場面で、

<彼はテレビを消し、テーブルから古封筒を一枚取って、そこに赤のフェルト
 ペンで走り書きした__「ありがとう。行くよ。また来る」それから家を出て
 地下鉄のハイゲート駅に向かった。>(p32)

 欧米では1975年現在でも封筒がメモ用紙代わりにされている!


     (サイモン・ブレット/飯島宏 訳『邪魔な役者は消えていく』
     角川文庫 1987再 J)

12月17日に続く~





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by byogakudo | 2016-12-15 22:01 | 読書ノート | Comments(0)


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