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猫額洞の日々

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2017年 01月 08日

(2)若桑みどり『戦争がつくる女性像』3/4

(2)若桑みどり『戦争がつくる女性像』3/4_e0030187_2153169.jpg












~1月7日より続く

 ヒトの集団に戦争は避けられないのではないかと思ってきたが、
『序章 前提 女性・戦争・イメージ』『1 戦争システムと家父長制』
によれば、"協調形態社会"であるクレタには、約2000年間、
<"戦争も、武器もなかった"という事実が科学的に証明されている>
(p017)そうだ。
 クレタでは、
<一般的原理として家系は母親を通して辿られてはいたが、女性が
 男性を支配するいわゆる母権制であったわけではない。>(p017)

< 人類は物質の生産と人間自身(子孫)の生産という二つの生産を
 営んでいるわけだが、家父長制の構造は、前者の生産を男性に、
 後者の生産(再生産)を女性に厳格に区別し、また配分した。だが、
 この配分は左右対称の水平配分ではなく、男性(父)が妻・娘の
 「性」を統御して、そこから自分の子孫を「産ませる」ことを
 役割づけること、またその子孫のうち最初の男子に支配権を委譲
 してこの構造を維持し続けるというピラミッド型の構造である。
 したがって、そこでは女性は自分の性を自分で"自由に"支配する
 ことは許されない。
 [略]
 上野[注:上野千鶴子]氏によれば女性の再生産手段である「子宮」は
 男性に「領有されている」。
 [略]
 女性は労働していないのではない。家庭内の厖大な量の私的労働に
 酷使されている。だが、その対価は支払われていない。この労働は
 劣等労働であり無料の奉仕である。[略]女性はこの制度のもとでは、
 性においても労働においても男性によって搾取され抑圧をうけている
 被支配者なのだ。>(p019-020)

 ベティ・リアドンによれば、
< システムが戦争を作り出したのであって、戦争がシステムを作り出した
 のではないと考えている。人間の定住、組織化された農業、国家、そして
 男性支配といった「文明」の主要要素をともなって現われたように思われる
 権威主義的な家父長政治は、その産物である社会秩序を維持するべく、戦争
 をつくり出し、維持しているのである。>(p021)

 日本の若い人々は近頃あまり結婚しないけれど、若い女性は"結婚したくない"
と思っているように見え、若い男性は端的に"結婚できない"。人類史的に、無理
もない。


     (若桑みどり『戦争がつくる女性像』 ちくま学芸文庫 2000初 帯 J)

1月9日に続く~





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by byogakudo | 2017-01-08 17:41 | 読書ノート | Comments(0)


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