2017年 01月 16日

(2)ローレンス・オリオール/荒川比呂志 訳『やとわれインターン』読了

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~1月15日より続く

 それにしてでもだ。英米のミステリは、机上の論理であっても、
つじつまが合う。合わせようとする。フェアプレイという原則に
沿って、トリックも叙述(レトリック)も展開する。
 で、フレンチ・ミステリの場合、そこらがどうも。というより、
そこを問題にすると成立しなくなっちゃうようなところもある。
 しかし、このミステリのレトリック、いいのかなあ?

 そこに英米ミステリの判断基準を持ち出すのがいけないんだ。
ミステリとしては難ありかもしれないが、小説として楽しめる。
それで十分ではないか。

 ブルジョアたちも、彼らのトラブルに巻き込まれた貧しい美青年も、
捜査を担当するフォール警部も、みんな私生活上の問題を抱えて溺れ
そうになりながら生きている。

 いきなり、ブルジョアの生活流儀に直面する美青年、ヴァンサン・
ドゥボスは、戸惑いながら何とか彼らを理解しよう、フィットしようと
するが、生活感覚の違いを越えられない。刑事には高熱を出している
末娘と、長年の神経症の妻がいる。彼らの看病と事件の調査を、平行
してやらなければならない。

< フォール警部にとってヴァンサン・ドゥボスは大して問題ではなかった。
 まるで空のトランクのようなこういう青年を彼はいくらでも知っていた。
 近頃流行の人種なのだ。こういう青年たちは、何も愛さず、何も与えず、
 何も引き受けようとしないのだ。一人の女でさえも。>(p138上段)

 エンディングの軽い苦々しさも決まってるし、かなり楽しんだ一冊。

     (ローレンス・オリオール/荒川比呂志 訳『やとわれインターン』
     HPB 1969初)





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by byogakudo | 2017-01-16 20:50 | 読書ノート | Comments(0)


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