猫額洞の日々

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2017年 01月 19日

連想歩行

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 鍋屋横丁を十貫坂に下りながら、昨日に続いて考える。Sはなぜ
プラタナスに惹かれるのだろう。
 十貫坂への道にも並木とまでは行かないが、プラタナスが続く。
交差する中野通りにも植わっているが、道路整備の問題だったかで、
伐採予告の札が樹にぶら下がっていた。

 葉が生い茂っているときには目立たないが、プラタナスは裸木になると
表現主義的だ。幹にはいくつもの瘤、ともすれば、ねじ曲ろうとする樹幹、
ねじれて細長く伸びる枝先。痙攣する美があらわだ。ティム・バートンや
エドワード・ゴーリー調でもあるし。

 いや、そうじゃない。プラタナスから、なにかに思考がジャンプしようと
しているが、何だったのか。
 何年も読んでいないマルグリット・デュラスだ。デュラス『ヴィオルヌの
犯罪』の悲鳴を、冬のプラタナスが思い出させたのだ。

 常緑樹に囲まれる重苦しさを佐藤春夫が書いていた。南九州の常緑樹地帯に
育ったので、よく分る。一年中、緑々(りょくりょく)しい中にいると、世界の
単調さに押しつぶされそうになる。冬は葉を落とし、裸の幹と枝を見せる落葉樹
は、常緑樹の暴力性がなく、わたしをほっとさせる。
 ケヤキの灰褐色の幹、すくと立ち上がり広がる枝。ケヤキはとても東京だ。





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by byogakudo | 2017-01-19 21:25 | 雑録 | Comments(2)
Commented by saheizi-inokori at 2017-01-20 08:49
裸木に取りつかれたような日々です。
こんなに美しいものだとは思いませんでした。
きのう神奈川近代文学館のロビーに東山魁夷の「冬華」という白い裸木を描いた絵が飾られているのを見ました。
Commented by byogakudo at 2017-01-20 16:26
冬の光は澄明でうつくしく、裸木のフォルムが
迫ってきます。(これで寒くさえなければ、
最高なのですが。)


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