猫額洞の日々

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2017年 01月 26日

(4)久生十蘭『久生十蘭「従軍日記」』ほぼ読了+荻窪散歩('17/01/25)

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~1月24日より続く

 戦争は国家が自国民を人質にとることで起きる。人質にされた
側は反抗すれば殺される(少なくとも不利益になる)と理解する
ので、あきらめて大人しく国家の暴力に従う。不本意ながら従う
のは面白くない。だから、頭の中で合理化する。

 すばらしい国なんだ、我々はすばらしい国民なんだ、だから国家に
従って行こう、他国との戦争は、やつらは醜悪なのだから襲って当然、
こちらが劣勢になっても、いや、このすばらしい国家が我々を率いて
いるのだから、我々はいつか勝つのだ等々、国民のほぼ全員が洗脳され
ているので、個人と国家という抽象的な機構(母国!)との間に齟齬は
来さない。敗北の日まで、蜜月は続く。

 より小規模な閉鎖状況であれば、途中で、自分がストックホルム症候群
に陥っていると自覚する瞬間もあるだろうが、お隣もその隣もと、同調の
渦の中にいると、なかなか気づけない。

 久生十蘭は折角、南方に従軍して来たのだからと、前線の視察を志願する。
 第四章から第八章まで、前線基地での日記である。着いた翌晩から空襲だ。
防空壕に避難しなければならない。壕の中で隣の兵士と同じ恐怖を体感する。
脅えながらも、まるでシェル・ショック中毒みたように、次の前線に赴く。
 電信兵が告げる敵機の降下角度が、直接「鉤括弧」で記されるのが効果的
だが、角度とか何機襲来とかは軍の記録に残されるのかしら、それを翌日に
でも見せてもらって、"従軍日記"に書いたのだろうか?

 そんな感想を抱きながら読んでいたら、ふっと、国家神道に洗脳された
ストックホルム症候群、と浮かんでくる。安倍・でんでん・晋三の憧れの
国家形態...。


     (久生十蘭『『久生十蘭「従軍日記」』 講談社文庫 2012初 帯 J)


 昨日(1月25日)は一昨日よりは少しましな気温だったので、近場、
荻窪まで地下鉄で行き、大田黒公園辺りからささまに北上しようと。

 荻外荘の公園部分に廻ってみる。建物部分はまだ入れない。公開
準備中だ。「防空壕の場所をご存じの方、情報を提供ください」と
掲示あり。

 ささま書店の外で、鮎川哲也『サムソンの犯罪』(創元推理文庫)、
河盛好蔵『回想の本棚』(中公文庫)。中で、鹿島茂『文学的パリ
ガイド』(中公文庫)、『日本探偵小説全集8 久生十蘭集』(創元
推理文庫)、吉田健一『旅の時間』+『吉田健一対談集成』(講談社
文芸文庫)、ジャン=ルネ・ユグナン『荒れた海辺』(筑摩書房)、
ピンチョン『ヴァインランド』(河出書房新社)。



呪 吐爛腐/呪 心臓亜屁/





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by byogakudo | 2017-01-26 21:26 | 読書ノート | Comments(1)
Commented at 2017-01-27 02:32 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。


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