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猫額洞の日々

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2017年 02月 02日

(1)ジェームズ・アンダースン/高田恵子 訳『ジェシカおばさんの事件簿 ホリデー殺人事件』半分+α

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 写真は昨日の東大駒場で。クリムトの風景画みたいな、
ちょっとした梅林。

 『ジェシカおばさんの事件簿』、むかしTVでやっていたのは
覚えているが、見たことがない。
 これが原作で、TVドラマ化されたのかと思って買った後で、
逆の事態、ノヴェライゼーションだと知ったけれど、なんとなく
楽しそうというヤマカンが、今のところ当っている。ノヴェライ
ゼーションは普通、がっかりするものだけど、何だって例外は
ある。

 近年、目にした連続TVドラマの作劇は、たとえば"Lie to me"
みたように、一話でひと筋のストーリーを語るのではなく、ふた筋
の話を同時進行させ、絡ませて、最後に終結させる構成だと思うが、
このデュプレックス傾向は、1980年代半ば以降の流行りの語り口
なのかと、ようやく知った。
 たしかに、ひとの生は、いくつものできごとに取り巻かれているから、
かつてのハリウッド映画みたいに、あるひとつの視点から語れるもの
ではない。リアリズムの形式としてデュプレックスが採用されるように
なったのだろう。

 第一話『ジェシカのミステリ講演』の前に『プロローグ』がある。
 書出しは、ジェシカ・フレッチャーが現在書いているミステリの
一部分だ。
 原稿を手直ししているところに手紙が届く。別々の土地からの
招待だ。書き終えてない原稿を抱えて、彼女はシアトルに行き、
『ジェシカのミステリ講演』が始まる。

 大学でミステリの歴史、ミステリと普通の小説との相違・同質点
などについて講演する場面では、論説の触りの箇所が直接話法で
記述される。まるまる全部、聞いてもいいよと読者に思わせるのが
作者、ジェームズ・アンダースンの腕前だろう。

 そうしているうちに、まるで関係なさそうな殺人事件がふたつ起きる。
名探偵が現れるところ、殺人事件あり、というテーゼは健在である。?
 ジェシカ・フレッチャーは集中力を発揮して原稿を仕上げ、優れた
人間観察力と合理性とで真相を見抜き、解決して、第二話『ジェシカ、
犬と遊ぶ』に進む。

 巻末に『検証・ネオ本格 3 ネオ本格の現状と未来』と題された
討論会が載っている。ジェシカ・シリーズの前2作から続く討論会
らしい。"ネオ本格"って、わたしの感覚では"メタ・ミステリ"の一種
に聞こえるけれど、ちがうかしら?


     (ジェームズ・アンダースン/高田恵子 訳『ジェシカおばさんの
     事件簿 ホリデー殺人事件』創元推理文庫 1987初 J)

2月4日に続く~


 わがままな虚人、トランプを見習ってか、いや国家権力を握ったのは
こちらが早い。安倍晋三・類の無茶ぶり、共謀罪はどう繕って見せても、
憲法が担保する思想・信教の自由、表現の自由を侵害する。
 法律を作る理由がころころ変わる代物に正当性なぞ、ない。
ただひたすら、権力をもつ側にとって使いやすい法律を作りたい、という
願望だけだ。


呪 吐爛腐/呪 心臓亜屁/





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by byogakudo | 2017-02-02 21:14 | 読書ノート | Comments(0)


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