猫額洞の日々

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2017年 02月 14日

(1)ロバート・A・ハインライン/福島正実 他・訳『地球の脅威』半分

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 写真は、たしか、神田多町の辺り。青銅の軒飾りなどのある、
堂々たる木造建築。角地にあり、タッパが高い。

 ハインラインのもう一つの短篇集『地球の緑の丘』とは相性
が悪いのか、初めの3篇を読んで栞を挟んだまま、ずっとナイト
テーブルに置いてある。『地球の脅威』はどうだろう?

 こっちは、いい。最初の『大当りの年』の哀感に、ちょっと驚き、
次の中篇『時の門』を読み終わったところだ。

 『大当りの年』は、様々な些細でヘンなできごとをデータ集積
しては統計学的に分析し、地球の壊滅する日を予測した男が、恋人
とともに、避けようのないその日を迎えるまでを描く。
 男と恋人との会話が、まるで30年代、40年代のハリウッド・
コメディみたいに軽快に交わされ、その間にも刻々と悪化する
状況が淡々と記述される。統計学者である彼にできるのは、
予測し、その結果である地球の終わりを見届けることだけ。
 哀しさがよくて、これなら次も読もうと思う。

 『時の門』は、部屋でタイムワープと自由意志の問題について
論文を書こうとしている男の前に、未来世界に於ける彼自身が
出現する。部屋にいる男は、彼が未来の自分だとは思わない。
 未来の自分(No.2とでも呼ぼうか)は、今の彼(No.1)を未来の
時空に誘い、未来からNo.1(自己意識あるいは話者)が戻って
きては同じ経過を繰り返し、そのために分身がいっぱいになる。
 繰り返しでおかしみを増すスラップスティック・コメディかと
思わせて、勿論その一面もあるのだが、いやいや、
< 神が世界を創ったのなら、その神はだれが創ったのか?>
(p126下段)という大問題に直面し、しかもその事態から逃れ
られず、何度も繰り返す陥穽の罠の話である。

 語られる次元論もすてき。

 一枚の絹ハンケチから成る平面を考える。
<絹そのものの表面が、二次元連続体の相関的な属性をすべて
 備えているからだ。その横糸を時間次元、あるいは方向とし、
 縦糸を三つの空間次元すべてを表すものとする。
  ハンケチにおちたインクの汚点が『時の門』なのである。
 ハンケチを畳むことによって、その汚点は、絹ハンケチ上の
 他の任意の汚点と重ね合わせることができる。この二つの点を
 親指と人差し指で押えれば、操縦装置が設定されて、『時の門』
 はひらき、この絹ハンケチに住む微生物は、布のほかの部分を
 迂回しなくても、直接に一面から他面へ這い抜けることができる
 わけである。>(p117下段~118上段)


     (ロバート・A・ハインライン/福島正実 他・訳『地球の脅威』
     HPB 1965初)

2月15日に続く~



呪 吐爛腐/呪 心臓亜屁/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/





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by byogakudo | 2017-02-14 21:30 | 読書ノート | Comments(0)


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