2017年 02月 26日
全12篇収録。面白そうなものから先に読んでしまった。 名前も初めて知った十和田操、すてき! リズムがいい、擬音の 音感がいい、『押入の中の鏡花先生』以外の作品も、読んでみたい。 < 鏡台の前に並んでいるお化粧罎のような小さい格好(かっこう)の やつが、びっこを引いて、一日中、けしょけしょと、かあちゃんの お尻について歩き廻るので、かあちゃんから「おけしょびんちゃん」 という名をつけられているのだが、そのかあちゃんのことは、かあ ちゃんと呼んで、とうちゃんのことは、とうちんといってふざける。> (p120) "お化粧罎のよう"に小さくて、"けしょけしょと"動き回る、幼い息子。 小鳥のような愛らしさだ。 擬音ってセンスがいる。 話が木内昇『笑い三年、泣き三月。』(文春文庫 2014初 J)に横滑り すると、第一章・第一行、 < 最後に、もんっ、と大きく叫んで汽車が止まった。>(p10)で座礁 して、後が続かない。 "もんっ"に拒否反応。一文の背後に、作者の"どうだ、決まってるでしょ" という会心の笑みを視るわ、日本近代文学臭味は感じ取るわ、一行目で ストップ。 いつか、気難しくないときに試みよう。 『名短篇、さらにあり』に戻る。 久生十蘭『雲の小径』。飛行機に乗り、雲海の中でエクトプラズムの 話になるのだ。すばらしい。 体質的に苦手で敬遠する内田百閒だが、『とほぼえ』すごい。少しずつ、 少しずつ、話が転調していく間合い! ようやく読んだ岩野泡鳴、『ぼんち』。なんだか、関西の男版・岡本かの子 みたような感触。 好みが偏しているので、永井龍男『出口入口』みたような短篇小説らしい 巧さには、だからどうしたと思ってしまう、日本近代文学痴だ。 いっそ、幻想と怪奇と奇妙な味だけのアンソロジーにしてくれてたらなあ。 (北村薫・宮部みゆき 編『名短篇、さらにあり』 ちくま文庫 2008再 J) 2月28日に続く~ 呪 吐爛腐/呪 心臓亜屁/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/
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by byogakudo
| 2017-02-26 21:55
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