2017年 02月 28日
~2月26日より続く 残りも全部、読み終わった。岡本かの子『家霊』だけ既読。 かの子から岩野泡鳴への流れ方が楽しい。 かの子も泡鳴も、厚かましいほどズンズンと、読者の前に クロースアップで迫るし、血圧の高そうな文体だ。時代の 違いは大きい。彼らと比較すると(比べる意味もないが)、 いまの作家たちは、読者との距離に注意を払い、暑苦しく ならないよう、無意識に気遣っているのではないかしら。 川口松太郎のみ、2作品収録なのは、巻末の『解説対談』に よると、宮部みゆきが『不動図』が好きでたまらず、北村薫は 『人情馬鹿物語』から取りたかったので、2篇になったという。 『不動図』、そんなにいいかなあ? たんにエッセイ風小説 と思えるが、宮部みゆきは、作者・川口松太郎自身と思しい 語り手にしか愛されない、絵画・"不動図"が不憫でならない ようで、彼女はこれを、"フェティシズム小説"として愛してる のだろうか? わたしはいっそ、新派悲劇調満載の『紅梅振袖』(『人情 馬鹿物語』)の大仰ロマンティシズム路線を好むけれど。 俗悪さは、Amanda Lear - Fashion Pack HD SOUND みたいに、自覚的に大振りな方がすてきじゃないか。 林芙美子『骨』の、ガラスの欠片がネオンサインのちらつきに 震えて輝くような文体と、初めて(!)読んだ島崎藤村、『ある 女の生涯』の狂いっぷりの描写に驚く。 なんでもそうだけれど、ひとつの流れを考えながら編集する のは大変だったと思うが、受け手は編者の苦労も知らぬ気に、 勝手に摘み読みし、レコードやCDなら勝手に再編集してしまう。 あいすまぬ。 ((北村薫・宮部みゆき 編『名短篇、さらにあり』 ちくま文庫 2008再 J) 呪 吐爛腐/呪 心臓亜屁/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/
..... Ads by Excite ........
by byogakudo
| 2017-02-28 20:32
| 読書ノート
|
Comments(0)
|
アバウト
カレンダー
カテゴリ
以前の記事
2024年 03月
2024年 02月 2024年 01月 2023年 12月 2023年 11月 2023年 10月 2023年 09月 2023年 08月 2023年 07月 2023年 06月 more... ■ねこ新聞
■月刊ねこ新聞Twitter ■蟲文庫 ■kissa e(@higashi-koenji) ■往復書簡 ■旅猫雑貨店 路地裏縁側日記 ■海ねこ的 日々の暮し ■森茉莉街道をゆく ■山崎阿弥 ■サイコ☆ヒステリック 徒然日記 ■穴熊 日記 ■だらだら放談 ■鈴木創士 ■安柊有人(@sosi-suzu)・Instagram ■西谷修―Global Studies Laboratory(GSL) の後継ブログ ■nibuya(@cbfn) ■so_kusumori ■楠森總一郎 EROS VERSUS ■hirose tadashi|photographer ■kizashino ■きざし乃 栞 ■do-do ■スローラーナー ■muttnik ■やっぱりモダニズムが好き! ■かめ設計室 ■建築ノ虫 ■ご近所の日々 ■素人魂~特濃魚汁~ ■素人魂@いたちょ ■胡乱亭 ■梟通信~ホンの戯言 ■左平次(@saheiziinokori) ■花も嵐も踏み越えて鉄道人生44年 ■PAPERWALL ブックデザイナー日下潤一の日々 ■daily-sumus3 ■藤原編集室 ■退屈男と本と街 ■古本屋ツアー・イン・ジャパン ■okatakeの日記 ■ギャラリー ときの忘れもの ■ときの忘れもの@twitter ■銀座レトロギャラリーMUSEE ■痩せたり太ったり ■橋場一男 ■Tracy Talk・・・ ■Unknown Pleasures ■メグブログ 美咲歌芽句 ■亜湖公式サイト ■五月真理矢写真館 ■ヒゴヒロシ ■坂本弘道公式サイト ■三信ビル保存プロジェクト ■逗子なぎさホテル ■わき道にそれて純喫茶2 ■アトリエ プティカ 最新のコメント
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||