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猫額洞の日々

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2017年 03月 20日

(4)クリストファー・プリースト/中村保男 訳『ドリーム・マシン』読了

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~3月18日より続く

 2135年のウェセックスを投射する計画は、

<初期の頃には、参加者が作製する報告書は投射の精神を反映していた
 ものだった。自分たちは一つの社会を発見しつつあり、その社会の運営
 方法に関していろいろ考察を加えているのだ、という意識が初めはあった
 のだ。ところが、時がたち、参加者たちがその社会に深く根づくように
 なると、彼らの報告書の調子もただ事実を述べるだけといった感じになり、
 未来の社会を現在の社会に関連づけると言うよりはむしろ未来の社会
 そのものと関連づけるだけのものとなっていったのだ。別の表現を使えば、
 これはすなわち、参加者たちが投射というものを現在の世界から意識的に
 推定されたものとしてではなく、まさしくそれ自体が現実である実世界と
 して扱っていることを意味していたのである。
 [略]
 ウェセックスは部分的には無意識が創り出したそのものであるがために、
 投射期間中は現実と化していたのだ。>(p154)

 参加者たちは学者(たとえばヒロインは地質学者)や研究者だが、未来社会
においては、各人の個性に基づきながらも平凡で目立たない仕事をしながら
観察している。
 自分たちが創り出した世界を、まるで文化人類学者が観察・記録するように、
あるいは二重スパイが活動するように潜入・調査する。
 記憶術を体得しているので、夢を見ながら(2135年に生きながら)も1985年
に戻ってくると、忘れないうちにできごとをレポートする。

 実験が始まった1985年に戻って来なくなった男が出て来る。モルグに在る
引き出し式棺桶みたいな投射器に入って未来へ行ったきり、1985年現在では
呼吸しているだけ、仮死状態に近い。彼は同時に2135年では生き生きと波乗り
を楽しみ、彼を捜しに来たヒロイン、ジューリアと恋愛する。
 分身たちの決死の恋物語なのだ。彼らの肉体は1985年時と接続している
のだから。


     (クリストファー・プリースト/中村保男 訳『ドリーム・マシン』
     創元推理文庫SF 1979初 J)

[追記:
 これは全く重要な箇所ではないが、1985年に戻ってきたジューリアが同僚、
メアリー・リカード(ロンドンの自宅が不法占拠されてしまった)と話している
場面に、人名の混同があると思う。

< 二階へ戻ると、メアリー・リカードがスーツケースに身のまわり品をつめて
 いた。>(p216)
 そして、ジューリアとメアリーの会話が始まる。その中でジューリアは、

< 一瞬、昨夜のことをマリリンに話してしまいたい誘惑に駆られたが、ほかの
 投射要員に__少なくとも意識的には__打ち明け話をしない習慣がついて
 いたし、それにマリリンのことはほかの人たちよりよく知ってはいなかった。>
(p216-217)

 メアリーと話す前にマリリンから聞いた話があるので、たぶんその延長で、
うっかり、メアリーとマリリンが混同されたのではないかしら。二人とも
ジューリアに味方する女性だし。]

3月21日に続く~



呪 吐爛腐/呪 心臓亜屁/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/

 トランプ大統領、メルケル首相と握手を促されるも完全無視 
その一部始終をカメラは捉えた(動画)


 ソファでツイッターする男は、プロの政治家に直面してビビってる
ように見える。彼女の青い服は、民主党(ヒラリー・クリントン)を
意識した着用ではないか。
 





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by byogakudo | 2017-03-20 14:45 | 読書ノート | Comments(0)


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