猫額洞の日々

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2017年 05月 11日

鹿島茂『フランス歳時記 生活風景12か月』読了

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 『パリの異邦人』は文芸評論あるいは評伝だったが、こちらは
もっと実用書だ。

<どんなにフランスが身近になっても、実際に自分の肉体をかの地に
 置いてみないと絶対にわからないものがある。フランスの四季折々
 の季節感と空気である。
 [略]
 季節感あふれる祝祭や行事が行われるとき[略]、人々はケルト=
 ゲルマンの原始宗教やキリスト教に起源を持つ花や植物などを
 手にして、歓びをあらわにした。
 [略]
 都市生活の進展で、自然が急激に失われたいまでも、フランス人は、
 花や植物で、季節の移ろいを意識するのである。[略]季節の移ろいは、
 カトリックの国フランスでは、守護聖人の名前と密接に結びついている。
 なぜなら、一年の三百六十五日に守護聖人が割り当てられ、[略]
 フランスの歳時記を書こうとすれば、どうしても聖人カレンダーを参照
 しなければならなくなる
 [略]
 本書では、毎月の風物や行事を中心としたエッセイに、その月の有名な
 守護聖人を農事暦とともに紹介したエッセイを継ぎ足すようなかたちに
 して[略]季節ごとの風物を味わいながら、その背景となっているキリスト教
 信仰(あるいはそれに覆い隠されている原始宗教)のバックグラウンドが理解
 しやすくなる>ように、さらに

<フランスの文化人のミニ・バイオグラフィーを付録として添え>、

<フランスの文化と文学に親しんで>もらうことを意図して書かれている。
(p1-3 はしがき)

 もとになったのは__
 セゾン総合研究所発行「生活起点」1998年5月号から1999年5月号まで
連載された『歴史に見る生活風景』、
 日本放送出版協会発行「NHKテレビ フランス語会話』2001年4月号から
2002年3月号まで連載、
 共同通信社配信の「信濃毎日」ほか各紙に1999年1月から1年間連載
__された文章である。

 鹿島茂はガイドブック風の本もよく書く。飲み食いとショッピング以外の
パリやフランスに目を向けると、もっと面白く味わえるのに、という思い
からだろうか。

<自分がほしいものは自分で作ってしまえばいい>ということで、
<三百六十五日の守護聖人とそれぞれの守護分野、象徴的な事物
 (エンブレム)を網羅し、サービスとして多少の占い的要素も加えた
 一種の聖人カレンダー『バースデイ・セイント』(飛鳥新社)>も出した
そうだ。(p11 『4月の守護聖人』『4月』)
 手近にあると、翻訳小説を読むときに何かと便利だろう。

 『11月にまつわる文化人』として、マリー・キュリーが取り上げられる。

<故河盛好蔵先生の自慢の一つは、マリー・キュリーの娘の書いた母親
 の伝記を『キュリー夫人伝』として翻訳するよう、出版社に働きかけ、
 戦前の大ベストセラーにしたことだった。
  先生が、これは日本で受けると考えた理由の一つは、この本が一つ
 の貧乏物語であることだった。つまり、向学心に燃えてポーランドから
 パリに出てきた若い女性が花の都で貧困と不幸に耐えながらラジウムを
 発見するまでの過程が、日本人の琴線を刺戟するとにらんだのである。
  この読みは見事にあたり、作家の井上ひさし氏などは、これを貧乏生活
 マニュアルとして読み、寒いときには新聞紙を毛布代わりにする方法など
 を学んだという。
  しかし、日本人には受けたマリー・キュリーの刻苦勉励(こっくべんれい)
 の生活の裏にはもう一つの大きな苦悩があった。それはポーランド国籍の
 ユダヤ人という出自に対するフランス人の偏見である。>
(p154-155)


     (鹿島茂『フランス歳時記 生活風景12か月』
     中公新書 2002初 J)



呪 吐爛腐/呪 亜屁沈臓/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/

 日本会議の抱える“後ろめたさ”とは?

< 「日本会議が進めている運動には、憲法改正と天皇『元首』化、
 歴史認識と教育、靖国神社や夫婦別姓反対、領土問題や安全保障
 など多数ありますが、彼らは課題ごとにそのつど運動の前面に立つ
 組織を結成します。だからみんな同一の人物がやっている素の顔に
 なかなか気付かない。たとえば改憲であれば『美しい日本の憲法を
 つくる国民の会』、教育分野では『日本教育再生機構』などですね。
 みんな日本会議による運動の一環であることを社会的に秘密化して
 いるのです」>

< 「調べていくうちに、教科書以外の集会でも日本会議に所属する
 宗教団体が信者を組織動員していることがわかってきた。2003年1月
 には、『つくる会』の主要メンバーが日本会議と協力して『「日本の
 教育改革」有識者懇談会』(民間教育臨調)という団体を立ち上げます。
 これは、教科書問題と隣接した教育基本法の改悪を目的とする組織です。
 東京で1200人を集めました。その中心となって全体を統括していたのが
 生長の家出身者です。そしてやはり、民間教育臨調の“裏の事務局”は
 日本会議であり、集会の聴衆も関東の宗教団体を組織動員した形跡が
 見られました。日本会議が宗教右翼に支えられていると確信しました。
 東京でも、大阪の1997年の集会と同じ構造で右派運動が作られていた
 んです」>

< 『日本会議とは何か』の44〜45ページに上杉は、国立公文書館に所蔵
 されている「日本国憲法最終案」の画像を大きく掲載した。黒字になって
 いるのは、GHQ案をもとに日本政府が帝国議会へ提出した改正案。その上
 から赤字で修正している大半の部分が、当時の衆議院と貴族院によるものだ。
 前文にも9条にも、徹底して細かな修正を加えていることがわかる。1946年
 10月7日、議会はこの最終案を枢密院へ提出。同年11月に日本国憲法は公布
 された。

  「この文書こそ『日本会議とは何か』における“命”のページと言ってもいい。
 赤い文字は誰が書いたのか。日本のそれまでの歴史のなかで、もっとも民主的
 な選挙で選ばれた国会議員が書いたのですよ。日本人みんなが、書かせたん
 です。これを単純に『押し付け』だなんて言えるものですか。日本会議も安倍
 首相も“違憲の疑いをかけられている自衛隊を、はっきり新憲法に明記しよう”
 と叫びます。しかしマッカーサーのスタッフたちが草案を作成する過程で、
 すでに自衛戦争の放棄を取り消し、日本側も現行の9条の2項に《前項の目的
 を達するため》といういわゆる芦田修正を施しました。これが専守防衛の根拠
 です。だから、日本会議と安倍政権が仕掛ける世論誘導に騙されてはいけないし、
 護憲派はそうした改憲派の論拠を徹底してつぶしていくべき。いつまでも
 『憲法は自衛権をすべて否定している』という絶対平和主義の牧歌的な考え方
 のままでいれば、結果的に日本会議の思う壺ですよ」>

< “日本会議の限界”を指摘したうえで、上杉は「本体を隠しながら課題別の
 実働団体を駆使する手法」を単眼的に見るのではなく、「右派運動の総合商社、
 あるいはデパート」として全体的に把握すべきだと繰り返し強調する。そして
 最後に「日本会議の弱点」について、こう示唆してくれた。

  「彼らが『日本会議』という看板を表に出そうとしないのは、ものすごい
 “後ろめたさ”を抱えていることの証左でもあります。この“後ろめたさ”こそ、
 彼らの最大のウィークポイント。だから、メディアは彼らをどんどん陽の
 もとに当てたらいいのですよ。彼らの実態は宗教団体でありながら、目的外
 の活動をやっているんです。政教分離違反です」>





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by byogakudo | 2017-05-11 20:41 | 読書ノート | Comments(0)


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