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猫額洞の日々

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2017年 05月 22日

(1)川本三郎『東京つれづれ草』半分弱

(1)川本三郎『東京つれづれ草』半分弱_e0030187_2315355.jpg












 文字の大きさにつられて、川本三郎『東京つれづれ草』を開く。
 
 『IIIひとり遊びぞわれはまされる』の『文士のたしなみ』では、
青木玉『小石川の家』で幸田露伴の「経師(きょうじ)、表装などは
男の嗜(たしな)み」という言葉を読んで、荷風『断腸亭日乗』での
漠然としかわからなかった記述に合点が行く。

< 大正六年九月十七日。「燈下反古紙にて箱を張る」
  大正八年十一月二十八日。「燈下臙脂(えんじ)を煮て原藁用紙
 罫紙を摺る」
 [略]
 露伴の言葉ですべてが理解出来る。不用の紙で箱を作ったり、
 原稿用紙の罫線を版木で摺ったりするのは、「男の嗜み」、
 文人趣味だったのである。
 [略]
  荷風と親交のあった堀口大學の語っているところによると(関容子
 「日本の鶯堀口大學聞書き」)、荷風は女性に封書を出すときは細身
 の封筒を自らこしらえ、それを使ったという。さらに海外にいる
 堀口大學に手紙を書くときは、アドレスの英字をやはり手ずから
 こしらえたインクを使い毛筆で書いた。
  「その赤黒いインクは、くちなしの実をすり潰した汁でつくった
 ものですって。そういうところにまで(荷風先生は)風流をお楽しみに
 なるのだね」
 [略]
 「日乗」大正十三年四月二十三日にある「(略)生薬屋にて偶然梔子
 (くちなし)の實を購得たり」の「梔子」とはこのインクのためだった
 のかと納得する。
  今東光「十二階崩壊」によれば、荷風は書き損なった原稿用紙の
 反古はこまかく切って観世縒(かんぜより)にして貯え、出来あがった
 原稿を綴じるときなどに使ったという。>(p107-108)


     (川本三郎『東京つれづれ草』 ちくま文庫 2000初 J)

5月23日に続く~


 昨日のEP-4、とってもよかったみたい! s.h.i.

 東京でも!
<【決定】EP-4[re:imagined]TOKYO 昨夜大盛況だった
 EP-4 5・21[re:imagined]の東京版が7月8日土曜日に
 開催されることになりました。京都での公演を観に来られ
 なかった方もぜひ足をお運びください! #EP_4>
(17:27 - 2017年5月21日)



呪 吐爛腐/呪 亜屁沈臓/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/

 【全訳きました!】国連報告者が安倍首相に共謀罪法案を懸念する
緊急書簡を送付
 





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by byogakudo | 2017-05-22 15:27 | 読書ノート | Comments(2)
Commented by saheizi-inokori at 2017-05-22 20:41
とても真似のできない男の趣味です。
さいきんとみにいい加減なハガキのやり取り(封書は年になんどか)、それも買い置きの絵ハガキでごまかしています。
それにしても切手をいくらはりたしたらいいのか。
Commented by byogakudo at 2017-05-22 21:19
ほとんどメールしか使わなくなったら、漢字が書けなく
なり、下手な字が、ますます下手になりました。
手書きが必要なときは、まずパソコンで下書きして
から、です。
風雅の道は幻の道。


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