猫額洞の日々

byogakudo.exblog.jp
ブログトップ
2017年 06月 17日

(1)山田風太郎『昭和前期の青春』半分強

e0030187_21393161.jpg












 『I 僕の危機一髪物語』は、旧制中学・寄宿舎の屋根裏に
秘密の部屋を作ったときの話だ。

<安んじてタバコをのむためと、部屋においておけない写真や
 雑誌を収納するのが直接の目的だが、それ以上に、秘密の
 ねぐらを持つということが少年の夢想に叶うものだったから
 にちがいない。>(p71)

 一坪の屋根裏部屋を作るために、椅子を壊して床(ゆか)を張る。
床の上にはゴザを何枚も重ねて畳代わり。三方の壁はボール紙の
内側に白い紙を貼る。出入口にカーテン、照明は天井裏の電線を
延長して電燈をつける。電球一個くらいなら、寄宿舎の電気料が
上がりもしないか?
 暖房には、予備の鉄火鉢(直径50cm以上)と炭俵一俵を運び
上げる。

 風太郎を含む五人の仲間が、秘密の部屋の制作に携わった。授業で
無人になる昼間に、音を立てる作業をする。

<仮病(けびょう)を使って学校を代る代る休んで、一人が作業している
 間、もう一人は部屋の入口に立って見張っている>(p72)。

 何ヶ月か掛かって、彼らの「天国荘」が完成した。

<寮の部屋には、押入が二カ所ある。その一つの方をあけると、上段は
 行李(こうり)やトランクや洗面道具などの置場所となっている。そこへ
 上って、天井板をずらすと、柔道の帯が二本垂れてくる。それをつかんで、
 やっとばかり身を浮かせると天井裏に上昇する。すると、そこには夢幻の
 ごとき天国荘が鎮座している、というわけだ。>(P72)

 映画雑誌やブロマイドに囲まれ、<そなえつけのタバコを吹かしながら>
(p72)、熱心に語り合う旧制中学生たち。

<ふしぎなのは、この天国荘一味以外の寮生たちの心理だ。私は四年で
 あったが、その部屋には五年生も三年生以下の生徒もいる。むろんみんな、
 天井裏の怪巣窟のことは知っている。また各部屋はおたがいにさかんに往来
 するから、突如押入れから出現するこちらの姿を眼にする機会はしょっちゅう
 ある。で、相当数が知っていたはずなのに、ついに舎監の耳にはとどかずに
 終った。
  彼らは一人も密告しなかった。
 [略]
 同室の連中は、私が夜寄宿舎を忍び出て映画を見にゆくことも知っている。
 [略]
 帰還して来た私は、大得意で見て来た映画の話をしゃべりまくり、それを
 彼らは羨望と敬意のまじった眼をかがやかせながら聞いていたもので
 あった。
  そのくせ彼らの大半は、決して私と行を共にせず、天井裏をのぞくこと
 さえおそれをなす、まじめで善良で愛すべき中学生であった。
  しかし彼らが密告しなかったのは、密告という行為を何より恥と考えた
 からだ。>(p81-82)


     (山田風太郎『昭和前期の青春』 ちくま文庫 2016初 帯 J)

6月18日に続く~


 今日、荻窪「ささま書店」で3冊。
 店頭で、D・M・ディヴァイン『兄の殺人者』(創元推理文庫)と
フレッド・ホイル『10月1日では遅すぎる』(ハヤカワ文庫)。
 店内で、ミシェル・フーコー『フーコー・ガイドブック』(ちくま学芸文庫)。



呪 亜屁沈臓/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/呪 吐爛腐/

 【票を入れるな危険】日本会議所属の都議候補一覧

 小池百合子氏 日本会議“本流”から外れた愛国者

 「共謀罪」法 衆参両院議員の投票行動

 上記のPDF





..... Ads by Excite ........
[PR]

by byogakudo | 2017-06-17 20:42 | 読書ノート | Comments(0)


<< (2)山田風太郎『昭和前期の青...      高円寺、villains へ(... >>