猫額洞の日々

byogakudo.exblog.jp
ブログトップ
2017年 07月 02日

(1)小鷹信光『翻訳という仕事』半分

e0030187_20572690.jpg












 昨日は高円寺まで歩く。新高円寺BOで小鷹信光『翻訳と
いう仕事』(ちくま文庫)。
 JR高円寺近くのEPT(エプト)が開いていたので、小さな
磁器の犬(ポインター)の置物。食卓周りに置いてみてから、
部屋の入口にある漂着物(がメインの)コーナーに落着いた。
 先だっては工事中で、もしかしてなくなるのかしらと心配
した東京屋(忙しいらしく元の場所で再開のお知らせがまだ)
が新規オープン。白人客が目立つ。彼らの食料調達に欠かせ
ない店だったのかと、今ごろ気づく。
 店内は品物を厳選したようで、すっきりしたレイアウトに
なり、ワインの壜が多い。ジャムとハーシー板チョコ。

 そして昨夜から小鷹信光『翻訳という仕事』。1950-60年代の
翻訳ミステリを取り巻く情景が読めるだろうとの見当で買ったが、
冒頭は『第一章 翻訳作業の実際』、次の『第二章 翻訳家が
できるまで』からが60年代のミステリアスな(?)風俗記述と、
小鷹信光の小自伝である。

 『第一章』の前にある『プロローグ』、その『4 資格審査の
第一関門』では、翻訳家志望の人たちに向けて、

<自分がはたして翻訳という仕事に向いているだろうか、という
 見きわめをつけることも肝要だ。
 [略]
 辞書を引いたり、資料を調べたり、実際に原稿を書いたりという
 机に向かう作業を、連続して四時間つづけられるかということが
 勤勉さと持続力の一つの基準となるだろう。>(p19-20)

 この後、30分か1時間休んで、さらに4時間、同じ作業をする。
このローテーションを週に6日持続させる。
 ひと区切り・4時間で、400字詰原稿用紙・10枚できれば、
つまり一日20枚×6日間で週に120枚、生産できるようなら、
翻訳家としての体力・気力があると認めてもよいそうだ。

 『第一章 翻訳作業の実際』では、小鷹信光が手がけたダシール・
ハメット『影なき男』翻訳を例に取って、翻訳の際の四つの過程に
分けて述べる。

< (1) 通読、熟読のための準備期間
  (2) 辞書や資料にあたる前段階作業
  (3) 実際の翻訳作業
  (4) 推敲をふくめた仕上げ>
であるが、(1)の熟読について、

<作品をじっくり味わい、深く読みこむこの熟読という作業は、
 その作品を翻訳せねばならない翻訳家にとって通常の読書とは
 別の意味を持ってくる。深読みをすればするほど、作業は難しく
 なってくる。実際に日本語に置き換えるときに生じるであろう難関
 が早くも目の前にちらつき始めるのもこのときである。
  おそらくこの時点で私の頭の中には、訳文の文体がおぼろに生まれ
 かけていたのだろう。
 [略]
  原作の文体を日本語に移し変える、などというのはどだい無理な
 話なのだが(英語は英語であり、日本語は日本語なのだから)、
 それでも"原作のムード"は可能な限り訳文で演出しなければなら
 ない。原文が悪文であるなら、訳文も悪文を心がけるべきだ。>
(p26-28)

 ひとは言葉を用いて考えるのだから、準備段階であっても、一種の
文体を紡ぎ出しながら思考しているはずだが、思考=文体に緊張度の
違いはあるだろう。『久生十蘭「従軍日記」』の初めの部分は、南洋
ボケというのか何ともだらしなく締まらない文章だが、戦闘最前線に
直面した終りの方では、日記の記述が、そのまま小説の文体に使え
そうな緊張感を示す。


     (小鷹信光『翻訳という仕事』 ちくま文庫 2001初 J)

7月3日に続く~



呪 亜屁沈臓/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/呪 吐爛腐/ 

 共謀罪強行成立記念! 安倍政権の暴挙を忘れないために振り返る
「共謀罪トンデモ答弁・暴言録」


 【票を入れるな危険】日本会議所属の都議候補一覧

 小池百合子氏 日本会議“本流”から外れた愛国者

 「共謀罪」法 衆参両院議員の投票行動

 上記のPDF





..... Ads by Excite ........
[PR]

by byogakudo | 2017-07-02 21:11 | 読書ノート | Comments(0)


<< (2)小鷹信光『翻訳という仕事』読了      マイナスマイナスα >>