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猫額洞の日々

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2017年 08月 23日

(1)グレアム・グリーン/高橋和久・他訳『見えない日本の紳士たち』もう少し

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 グレアム・グリーンが好きだ。読みながら、つくづくそう確認する。
これ見よがしにならない、巧さ。巧さというより旨味。なぜこんなに
完璧なのだろう。

 心理劇みたような短篇が続くかと思えば、木村政則 訳『旅行
カバン』は不気味で不穏。イギリス風ブラック・コメディだ。

 ニースの空港カウンターで、母親が寄越した電報を二度読んで
から二つに裂いて、そのまま去った主人公という場面から始まる。
 飛行機内ではカバンの中身について、隣の女性客と妙な会話を
交わし、イギリスの空港でタクシーに乗っても、ちぐはぐな会話が
続く。母親と二人暮らしのフラットに着くと、ここでも、彼が帰って
きて喜ぶ母と、淡々と妙な話をする。

<母親のあとについて居間に入った。大好きな絵の位置が変わって
 いた。<<ライフ>>に載っていたヒエロニムス・ボスの絵である。
 「私の椅子から見えないようにしたの」と、息子の視線に気づいた
 母親が言う。>(p116)

 旅行には、洗ったらすぐ着られる、ナイロン製か何かの実用的な
シャツを用いる。ひと息ついたら、廊下に置いた旅行カバンを取りに
いって荷物を片づけようとする、実際的な男。
 
 荷物を片づけなきゃ、という場面で終わるので、読者はカバンの
中身を知ることはできない。"ボスの絵"というのが、彼の性格の隠喩、
あるいはヒントかしら? だとすると、大西洋の彼方には、彼の、
より過激ないとこ、ノーマン・ベイツが住んでいそうだが、どっちが
先に書かれたのだろう?


     (グレアム・グリーン/高橋和久・他訳『<グレアム・グリーン・
     セレクション> 見えない日本の紳士たち』
     ハヤカワ epi 文庫 2013初 帯 J)

8月24日に続く~



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by byogakudo | 2017-08-23 16:08 | 読書ノート | Comments(0)


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