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猫額洞の日々

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2017年 10月 30日

塩澤珠江『父・吉田謙吉と昭和モダン 築地小劇場から「愉快な家」まで』読了

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 10月24日に買った塩澤珠江『父・吉田謙吉と昭和モダン
築地小劇場から「愉快な家」まで』(草思社)、読了。

 個人史がそのまま近代史に投影する、人物伝/社会史だ。
 吉田謙吉の長女・塩澤珠江氏の記憶と、母堂(吉田謙吉の妻)・
吉田鹿乃子氏に聞いた話の録音が、本のベースになっている。
 戦火に失われた資料も多いだろうが、それでも残された大量の
メモやデッサン・絵画・写真等の整理分類、周囲の状況に照らし
合わせて時期を特定したり、呼応関係を見つける作業は大変だ。

 娘にとっても身近な記憶の場所、昭和24(1949)年に港区・飯倉
(現・麻布台)に建てた家(『第一章 十二坪のちいさな家』)から
吉田謙吉・物語/史が始まる。演劇人としての吉田謙吉の生き方・
仕事が描かれ、最後の『第三章 戦中・引き揚げ、そして戦後』と
締めくくられる。

 箇所箇所に吉田謙吉の著作や他の本からの引用があり、演劇人で
あり舞台・映画美術家、本の装幀家などなど(おおまかにデザイナと、
いえなくもないだろうが)、多面体・吉田謙吉の肖像が、多数の図版
とともに浮かび上がる、充実感たっぷりの一冊だ。

 『第三章 戦中・引き揚げ、そして戦後』の『天津収容所』より引用
したい。「東京新聞」昭和21年4月6日掲載である。

< 北支の日本軍の糧抹廠(りょうまつしょう)だった貨物処へ集結を
 命じられたので、私たちもそこへ入った。
 [略]
  そのうちに私が演劇人であることや集結邦人の中に慰問で来ていた
 歌手の渡辺はま子や澤雅子、舞踊家の平岡斗南夫、田島喜久子、花柳
 徳晴美の諸君、その他大阪の大市少女歌劇団や、兵隊の中にもとロッパ
 一座の歌手、土屋伍一[ボールド表示:引用者]君等が加わっていること
 が先方の将校に知れ、>(p171)
『南の島に雪が降る』の北支版みたような演芸会が開かれた。

 土屋伍一!は、天津から戻ってきて、仙台の鈴木桂介家に居候したのだ。

 "吉田謙吉と日本近代史"と呼びたくなるような本だが、巻末の
参考文献には『鎌倉アカデミア』や『土方梅子自伝』などもあった。
 あれこれ興味の赴くままに雑読していてよかったなあ。


     (塩澤珠江『父・吉田謙吉と昭和モダン
     築地小劇場から「愉快な家」まで』 草思社 2012初 帯 J)





呪 亜屁沈臓/呪 汚池腐裏子/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/呪 吐爛腐/

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by byogakudo | 2017-10-30 15:55 | 読書ノート | Comments(0)


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