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猫額洞の日々

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2017年 11月 17日

合田ノブヨ「箱庭の娘たち」作品集出版記念展へ

合田ノブヨ「箱庭の娘たち」作品集出版記念展へ_e0030187_1931777.jpg













 11月26日(日)までの合田ノブヨ「箱庭の娘たち」
作品集出版記念展
だ。そろそろ行かなくっちゃ。
 週末や祝日は近所に逼塞する身だし、シス書店は月・
火が定休日だから、行ける日は今日を入れて、実質
3日間しかない。


 明るいベージュの額入りが新作、黒縁の額入りがそれ
以前に描かれた作品。マッチオブジェも出展されている。

 マッチオブジェ、なつかしい。1980年代初めだろうか、 
青山のギャラリーでマッチ箱の表面を『マザーグース』の
コラージュで覆う作品を見た、と言った途端、シス書店の
方が間髪を容れず、
 「スペースユイ!」と応えてくださる。

 そうだった。窓の近くだったか、狭い壁面を活かして、縦に
作品を並べて見せる展示方法だった。そんなことまで思い出す。

 シス書店ではガラスケースに横並びに置かれている。今回の
マッチオブジェはマッチ箱を覆うのではなく、マッチ箱サイズの
ボックスアートだ。
 たとえば『雪の朝』と題される作品では、少年がマッチのお家の
戸口に立っている。扉を開け、外を見まわす少年に朝日が射し、
影が室内(箱の背面)に落ちるという造りである。

 マッチ箱の両横を切って、左右に開けてある。それを閉ざすと
オブジェたちの眠る箱になる。マッチの箱の、カリガリ博士の
キャビネット? 不思議な夢や甘い夢の底には、博士の息も流れ
込むのかもしれない。

 平面作品は、コラージュではあるけれど、どれが切り抜きで、
どこからが地の絵なのか、境目がはっきりしない。よく見れば、
かすかに浮いているので、切り抜きと分かる。
 シス書店の女性によれば、パステルや水彩で境目をぼかして
あるようだ、とのこと。スフマートという手法かしら?
 卵の殻を剥いて中に描かれた少女たちを見せる、イースター
エッグみたいな作品(『少女の頃』)では境目は、はっきりして
いる。卵の殻との差異を見せるために。

 タイトルもすてきな『厭世家なの』では、少女の周りに蜻蛉
が飛び交い、『ハデスからの贈り物』を見上げる少女の顔は
影になって見えない。『沼の女』の足もとには蝙蝠が控え、
『雪明りの夜』の娘たちは、風に吹き上げられて中空に踊り
続ける。

 反射光に輝くスワロフスキー・ガラスと影を描いた作品が、
モデルになったガラスと一緒に真ん中の箱に展示されている。
 この絵は「箱庭の娘たち」の表紙に使われている。
 17.7×13.5×1cmのハードカヴァが絶妙な硬さのトレーシング
ペーパーの筒箱に覆われる。筒箱には日本語のタイトル、作者名、
出版社名の間を縫って、フランス語タイトルが白字で記される、
という濃やかな造本だ。

 いい展覧会。楽しかった。

     (合田ノブヨ「箱庭の娘たち」作品集出版記念展
     @シス書店 2017/11/17)





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by byogakudo | 2017-11-17 22:19 | アート | Comments(0)


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