猫額洞の日々

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2018年 01月 12日

春風亭柳昇『与太郎戦記』読了

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 読みながら、岡本喜八の戦争アクション(という呼び方でいいのか?)
映画を思い出す。
 たとえば『血と砂』の少年兵が、若い兵士を指揮する立場になるまで
生き延びたら、こういう自伝になるのかなあ。柳昇は兵隊にとられる前、
横河電機に勤めていた頃、会社のブラスバンド部でトロンボーンを吹いて
いたし。

 不確かな記憶だが、日本の兵隊たちは日記を書くことを勧められていた
と思う。だから細かいエピソードも漏らさず書けたのかしら?
 
 <シンガポールやガダルカナルといった、華々しいところでは>ない、
<あまり当時、新聞にもでなかった、いわば二流、三流どこの戦場>
(p3 まえがき)での記録がメインである。

 二流、三流であろうと戦闘があれば、被害が出る。目の前で戦友は
死ぬし、柳昇自身も右手首が折れ、左の人差指と薬指を失う。
 だが、落語のディタッチメント性が身についているからか、どんな悲惨
な状況でもヒューマーが失われない。詠嘆しそうになると、そんな自分を
省みる記述が続く。

 動物好きなのだろう。赤坂の部隊に入営するときに、

< 省線(今のJR)から市電(つまり都電)にのりつぎ赤坂区役所前で
 おりた。
  営門をはいる百メートルほど前の家に「かわいい子猫さしあげます」
 という札がはってあるのが、ムヤミと印象に残った。フシギなことに、
 その札は、その後半年そのままだった。赤坂の猫はトシをとらないの
 かもしれない。>(p29 初年兵はツラいの巻)

 中国大陸に渡り、駐屯しているとき三毛猫になつかれる。食物を投げる
と最初は逃げたが、数日で膝に上がってきて喉を鳴らす。

< 日本語も覚えてきたとみえ、
  「飯(めし)上げ!」
  の号令がかかると、いつのまにかそばへきて待っている。[略]
  夜の点呼の際は、猫も、私の足もとに整列する。
  [略]
  班長殿の号令で、週番士官殿に敬礼。週番士官も心得たもので、
  「よし、秋本[注:柳昇の本姓]、猫は元気か?」
  「ハイ、元気であります」
  「よし、では解散」
  いつのまにか、猫も員数の中に加えられていた。>
(p110-111 ここはお国を何百里の巻)

 そのうち、配属換えになる上官の飼犬まで引き受けることになる。
殺伐たる戦地での記録中に挟まれる、動物や魚や植物に関する記述
に目が行くのは、読み手が描かれる世界に引き込まれているから、
同調して、ほっとするのだろう。

 普通のひとの戦時の記録として、いい本だったが、柳昇が晩年、
<日本会議代表委員を務め>(wiki)
たのが事実なら、とても残念である。律儀な生活者意識は、日本
会議の問題点に気づかせない限界を持つ、ということか。


     (春風亭柳昇『与太郎戦記』 ちくま文庫 2005初 J)





呪 亜屁沈臓/呪 汚池腐裏子/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/呪 吐爛腐・夷蛮禍/

 安保関連法(こと戦争法)の本会議投票行動(PDF)東京都の
安保関連法(戦争法)に賛成した議員名


 共謀罪強行成立記念! 安倍政権の暴挙を忘れないために振り返る
「共謀罪トンデモ答弁・暴言録」


 【票を入れるな危険】日本会議所属の都議候補一覧

 小池百合子氏 日本会議“本流”から外れた愛国者

 「共謀罪」法 衆参両院議員の投票行動

 上記のPDF





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by byogakudo | 2018-01-12 17:03 | 読書ノート | Comments(0)


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