2006年 02月 05日

「黄金の灰」

 またクロフツ(創元推理文庫 60初帯)。これも2部に別れているが、いまのところ
乱丁・落丁はない模様。

 第1部は前回と同じく、事件関係者から見たできごとの様子、第2部にフレンチ警部
登場である。時系列的には「フレンチ警部の多忙な休暇」に続く。

 ここで目下いちばん関心が持てるのは、事件関係者(ベチー・スタントン、地方の
田紳の娘であるが、遺産がなく、大きな荘園の家政管理人の職をようやく手に入れる)
が生活が安定した途端に書き始めた小説が果たして無事、出版されるであろうか? 
ということである。

 家政管理人という職種の社会的地位がよく理解できないのだが、たんなる召使頭
以上の存在みたいだ。主が独身なので、妻の仕事である パーテイの席順を考えたり
なぞしてもらいたいと頼まれている。
 最初の面接ではそういう話であったが、主は近隣の人々の人気が得られず(傍系から
荘園領主の跡を継いだせいだろうか?)パーティはおろか、客人も少ない。主は
ひとり、工作室に閉じこもることが多い。

   <・・・所在なさと、もてあました時間とが、ベチーの考えを、ずっと前から
   胸にはぐくんでいた計画に、ふたたび向かわせた。ベチーは小説が書きたかった
   のである。>

 ひとりの娘が貧乏と戦ってついに成功する話だそうである。全20章の大作であるが、
18章まで書き上げたとき、主が、もう荘園を売り払って外国で暮すと言い出す。
 何とか時間と資金のやりくりをして、あとは出版社に原稿を持ち込むまでに来たが、
彼女は第二作にも自信があるのだ。

 こうなると気にしない訳には行かない。彼女の第一作は本当に優れているのか、
それとも「ジェイン・エア」が雇い主に会ってすぐ、「彼、わたしのことを
愛しているは」と無根拠に断定する(物語もその方向で進む)に似た、妄想性のもの
なのか。気がかりである。

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by byogakudo | 2006-02-05 18:09 | 読書ノート | Comments(0)


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