2006年 02月 06日

「黄金の灰」読了

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 第2部はフレンチ警部の話なので、ベチー・スタントンの小説の件は
出版社に送られたきり、消息がなかなか解らない。ようやく巻末になって
   <ベスト・セラーとまでは行かなかったが、少なくともたいへんに
   よく売れて、ベチーはよろこんで、その出版元に、つぎの三作に
   ついての先買権を与える契約に署名した。(・・・女友だちとサン・レモの
   近くに住んで)そこで、相ついでつぎの傑作が生まれることになった。>
 
 めでたし、めでたしであるが、もう少し詳しく彼女の小説の内容が知りたかった。
大変ノッて書き進める様子が描かれているので、ついでに小説内小説でも読めると
面白いと思ったけれど、探偵小説でそれをやると、長くなる。フレンチ警部が
あれこれ推理展開する場面が減らされるから、徒な希望である。

 昨日書いたように、いきなり傑作が出来るとベチーが(作者が)断言する、
その根拠が見当たらないのだが、むかしの小説は、主人公と作者の言とが等しい
場合が多いから、読者はそれを無理にでも了解しなければならない。

 当時の人々は気にならなかったのだろうか?という点で、「ジェイン・エア」を
思い出したりしたのだが、まったく ジェインったらである。

 最初の孤児院?でのこども時代は、とてもよかった。孤独さが読者に沁み入る。
しかし、彼女の身分は住み込みの家庭教師である。召使のひとりに過ぎない。
それなのに何故、雇い主(やもめであるということになっている)にお目通りした
途端、「彼は、わたしを愛してる!」と確信するのだろう? 当時の読者は何も
疑問を抱かない、いわばお約束の展開なのだろうか?
 雇い主が再婚するにしても、同じ階級の伴侶を選びやしないかとは、ヒロインも
読者も作者も、誰も常識的な判断を下さなかったのかしら?

 「ジェイン・エア」もまた、「そのままのキミが素敵なんだよ」という
日本の少女漫画の一パターンの源流かも知れないが。

お手数ですが、よろしく。
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by byogakudo | 2006-02-06 13:10 | 読書ノート | Comments(0)


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