2006年 03月 19日

「作家さん」・・・

 時々耳にするこの名称、硬い出版社勤めの友人に尋ねると、
 「あたしの周りじゃ聞かない。あっ、『ライターさん』ってのはある。
でもそれよりさ、患者さまってのが気に障ると思わない?」と話はそっちへ
向かった。

 「お客さま」は熟れて定着しているが、「患者さま」は慇懃無礼にしか感じられない
いやな言い方だ。「患者さん」で、どう不足だろう? 余計なことに気を使うものだ。

 「作家さん」を初めて聞いたのは、去年だったか、若い女性客からである。耳慣れず
びっくりしたが、いまだに自分の中で了解が行っていない。何か引っかかる。

 現在生きて書いている若手小説家を からかい気味に、そう呼ぶのかしらとも
思ったが、物故作家(むしろ文学者と呼ばれそうな)に対しても「作家さん」と、
彼女は呼んでいらした。
 たしかに一億総作家みたいな自費出版ブームだけれど、「作家」という言葉が
インフレイションを起こして、「作家さん」になったのだろうか?

 わたし自身は、「作家」というやや漠然とした名詞より、「小説家」を好むが、
「作家さん」には揶揄の気持は込められていないのだろうか? 先週たまたま
眼にしたTVニュースでも、若い女店員が「作家さん」と、ごく当たり前の口調で
使っていて、そこには軽い侮蔑もからかいの精神も何もなく、ニュートラル?で
あった。

 似たような職業なのに、社会的・経済的に、やや低く見られがちな仕事(たとえば
医者に対する看護婦)の場合、どうも補いの気持からか、「医者と看護婦さん」の
ような言われ方をしてきたが、「ライターさん」も同類であろう。
 「作家さん」も、その一例と捉えればよいのか? 自費出版社の新聞広告には
「『著者さん』募集」というのもあった。

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by byogakudo | 2006-03-19 18:01 | 雑録 | Comments(0)


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