2006年 04月 13日

「悪霊の群」を読み始める前に

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店で「湿った家」(宮脇俊三 新潮文庫「ミステリー大全集」所収 99年39刷)を
読んだ。素敵だ。建物や室内の描写がある小説が好き という理由もあるけれど、
淡い怪奇小説風味も好もしい。

 こどもの頃住んだ家が旅館になって今も電車の窓から見える。初老となった
かつての こどもが客として訪れると、当時とあまり変わりないが しかし時が
荒廃をもたらし、なぜか火葬場もどきの巨大な焼却炉が新たに作られ、梅雨の
季節が不気味な暗さをたたえて、彼を迎える。
 湿った家で不安な一夜を明かし、翌朝、彼の感じた恐怖は気のせいであると、
いちいち明快に答えてもらえるのだが、それが却って不安を煽る。

 たいへん好みな怪奇短篇だった。短篇集「殺意の風景」の中のひとつなのか、
解説を読んだだけではよく解らなかったが、他の短篇も読んでみたくなる。

 写真は「湿った家」ならぬ からりとした湯島聖堂外壁。脇を通ったことは
あるけれど、わたしだけでなく東京っ子のS も入るのは初めてだった。気持のよい
空間だ。崖地の使い方が素晴らしい。棕櫚やモッコクなぞの南方の樹が多いのは
何故だろう? 
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by byogakudo | 2006-04-13 12:25 | 読書ノート | Comments(0)


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