2006年 04月 27日
「中島らも烈伝」(河出書房新社)もそうであるが、「魔法使いの弟子」(現代思潮 新社)第2部を読んでいると、鈴木創士氏には小説を書いてもらいたいと思う。 第2部は彼のパリ時代の記憶のあれこれが鏤められた、とても音楽的な流れの 記述である。「烈伝」にも同じ音楽性が感じられたし、「烈伝」は、伝記という より むしろ小説と読んだのだが。 * 「狐の鶏」(日影丈吉 講談社文庫)中の「ねずみ」は構成が好きだ。 主人公が言葉も解らないまま台湾劇を見ていると、部下に呼ばれて観劇は中断し、 部下の浮気問題になる。 主人公は穏便にことを済ませようとするが、あまり上手く行かない。そこへ 台湾劇に詳しい別の部下が登場して、中断したままの劇の粗筋を教えてくれる。 部下の問題と同じような三角関係の話で、最後は神が遣わした鼠のおかげで万事 解決するがしかし、現実のトラブルは・・・という二重構造である。 やがて砲火に曝され、台湾の土地の演劇も現実も、等しく遠い記憶の彼方の できごととなった地点から物語られる遠近法も、乾いた静かな昼下がりの印象を 与える。 (大過去も半過去もない)過去形に乏しい日本語で過去を描くには、どんな手法を 要するか でもある。 「新コ半代記」が待ってた筈なのに、いつの間にか「狂風世界」(バラード 創元推理 文庫 76年5刷)を手にしていた。原題 " THE WIND FROM NOWHERE " は、中国語なら うまく翻訳できるだろうな。
by byogakudo
| 2006-04-27 13:28
| 読書ノート
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Comments(1)
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by
美咲歌 芽句
at 2006-04-27 22:04
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イングリット・カーフェンの写真をきっかけに、鈴木創士氏の著書「中島らも烈伝」と「アントナン・アルトーの帰還」を買って、読んでみました。そして私も同じように、鈴木氏にはぜひ小説も書いてもらいたいと思ったことでした。なお、私もあの懐かしいアミシャイに「ハロー! メグです。」とPCから挨拶のメールを送りたいのですけど、はてさて、どうしたものか・・・。
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