猫額洞の日々

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2006年 04月 30日

「狂風世界」読了

 むかしのバラードだって愚作を書く権利はあった。__ということか。

 数組のカップルが、凄まじい強風によって齎される世界の終末に 如何に翻弄され
対峙したか を描こうとしているが、焦点が定まらない。

 小説の前半は、登場人物群の状況説明に費やされる。物語の半分まで来て、やっと
何らかの動きが出てきたと思ったら、妙な誇大妄想的大金持ちが、世界の破滅に
対抗する人間の意志の表徴としてピラミッドを作って立て籠ったりするが、これが
ちっとも物語を収斂させない。最後は徐々に風の弱まる兆しを描いて大急ぎで終わる。

 わたしは何を読んだのだろう? もしかしたら全体小説指向だったのかも知れないが
誰だって失敗する権利はあるさと、忘れよう。
                  (J・G・バラード 創元推理文庫 76年5刷)
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by byogakudo | 2006-04-30 19:18 | 読書ノート | Comments(0)


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