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猫額洞の日々

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2006年 05月 03日

「ある市井の徒」読了と「文春特別版」

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 明治の横浜居留地界隈は素敵だっただろうな。
<・・・英一番のジャーデンマゼソン商会の赤門のある、大波止場を控えた
海岸通りが、十八・十九・二十番ブッ通しのグランドホテルのある谷戸橋際で
尽きる、それよりも仲通りの、五十番のコルンス商会と七十一番のストロン会社が
向きあったあたりから、六十一番の楽器店(みせ)と八十二番の食料品の店と、
向きあった処あたりへかけてが好きでした、殊に遥々と渡ってきた諸外国の新聞
雑誌書籍の店や、市中のそれとは面目も内容も違う薬店のあるあたりは、画でみる
外国の街にも優っていると、新コは独断して好んだものです。それから谷戸川へ
突き当る六十九番と八十八番あたりへかけては、日本建築ではみられない、
洋風なるが故らしい或る侘しさがあって、そこも好きでした。・・・>

 <・・・異国調に即(つ)くのでなく、異国調を日本風の中へ離さずに即ける> 
ラシャメン(洋妾)の美等、かつての港街風景に憧れを抱かせる。

 女郎たちの自由廃業を手伝う件や、その後藝者と結婚するあたり、男も女も
怖いほどシャンとしている。ゆるい人間としては、いささか おっかない。

               *

 お客さまから「文藝春秋」特別版06年5月臨時増刊号を頂く。岡崎武志氏の
コラム「心とからだはミステリー」2 「日本の『偏食王』は?」に中村真一郎や
荷風のカツ丼好きを引いて、<誰か、仏文とカツ丼と長生きについて、調べて
ください。>とある。久保田万太郎も たしかカツ丼好きだ。中村真一郎が慶応に
関係しているかどうか、もしそうなら、三田文学系のカツ丼愛 考証になりそうだ。

by byogakudo | 2006-05-03 13:01 | 読書ノート | Comments(0)


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