猫額洞の日々

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2006年 07月 08日

「幻影城通信」他読了

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 「枕頭風景」と「『幽霊塔』の思い出」が面白かった。
 「枕頭風景」は病気で寝ているとき枕元を眺めて、本の山並みを詳述している。
枕頭ずらり一周だ。

 紹介された本の中では、チェスタトン「テールズ・オヴ・ザ・ロング・ボウ」
(嘘物語)が気になる。第一章は、友人に
「お前がテームズ川を火にして見せたら、俺は帽子を喰って見せる」と挑戦した
退役大佐が主人公である。大佐はまだ新しい帽子を裏の畑の案山子にやってしまい、
その足下のキャベツを帽子代りに冠って数日過ごす。町中の人々に彼の帽子はキャベツ
であると充分 認識させた挙句、挑戦した友だちを昼食に招待して、目の前で帽子の
丸煮を喰って見せた という話。
 これは日本語訳はないのだろうか? あるならぜひ読みたい。ファンタスティック!

 「『幽霊塔」の思い出」は乱歩が中学1年生の夏休みの思い出。母方のお祖母さんに
熱海温泉で湯治しているから、お前もお出でと誘われた少年乱歩が(というより まだ
平井太郎少年だが)海水浴や写真撮影も忘れて、ひたすら借りてきた黒岩涙香
「幽霊塔」に熱中していたという話である。

< 私は真夏の宿に寝そべって、二日間というもの「幽霊塔」の世界に没入し、
怪奇と恐怖の天国に遊び、涙香の小説はどうしてこうも面白いのかと、あきれ果てた
程であった。その夏の熱海行きは、私にとって初めての長旅であり、汽車も、
富士山も、軽便鉄道も、海も、千人風呂も、宿屋暮しも、悉く珍しくないものは
無かったのだが、しかし、不思議なことに、熱海旅行の印象として最も強く
残ったのは、「幽霊塔」三冊と、その怪奇の世界に遊んだ二日間で、これに比べては、
他の旅行風景など、夢のように淡くはかないものに過ぎなかった。・・(略)・・・>
                    (講談社 江戸川乱歩推理文庫 88初)

 他に、猪狩春男「返品のない月曜日」(新風舎文庫 03初)を読み、昨夜から
「山荘綺談」(シャーリイ・ジャクスン ハヤカワ文庫 87再)を読み出す。乱歩「子不語
随筆」は後回しにして。

 今日、アルトー「神の裁きと訣別するため」(宇野邦一・鈴木創士訳 河出文庫
06初帯)を頂いた。鈴木創士氏の翻訳「ヴァン・ゴッホ  社会による自殺者」は、
35年ぶりの新訳だそうである。「山荘綺談」を急いで終えよう。

 明日、もしかして追加するかも知れませんが、
新着本 よろしく。
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by byogakudo | 2006-07-08 16:46 | 読書ノート | Comments(0)


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