2006年 09月 21日
なに、こども同士のいじめの話?かと、退屈しながら読み進める。 全寮制の隔離されたこども時代のエピソードが語られて行くのだが、 数章も読めば、臓器移植用の人間牧場の物語ではあるまいかと見当もつく。 めんどくさくなって(細かい思い出話がじっくり、じわじわ綴られる。) 最終章に飛んで見る。やっぱり、そうじゃないか。 わたしはもっと酷いことを想像していた。クローンではなく、奴隷制の 一種として、人間牧場用に飼育された階級の話だと予想していたが。 途中のじわじわエピソードをちゃんと読んで行けば面白いのかなあ? 付き合う気になれないのだが。だって、いじめの話の妙な生々しさとか、 ここを我慢すれば地平が開けるとは、とても思えない。 SFをなめた純文学・社会派SF風味だろうというのが、わたしの感想だが、 柴田元幸の解説では、 <・・(略)細部まで抑制が利いていて、入念に構成されていて、かつ我々を 仰天させてくれる、きわめて稀有(けう)な小説である。>そうだ。 甘いんじゃない?と、途中を抜かした奴が言っても、聞く耳を持つ人は 少ないだろう。クローン牧場のことをバラして、やや、すまなく思っているが、 バラされたらそれでおしまいの文学では、ないんでしょう? (「わたしを離さないで」 カズオ・イシグロ 早川書房 06初帯)
by byogakudo
| 2006-09-21 15:50
| 読書ノート
|
Comments(0)
|
アバウト
カレンダー
カテゴリ
以前の記事
2024年 03月
2024年 02月 2024年 01月 2023年 12月 2023年 11月 2023年 10月 2023年 09月 2023年 08月 2023年 07月 2023年 06月 more... ■ねこ新聞
■月刊ねこ新聞Twitter ■蟲文庫 ■kissa e(@higashi-koenji) ■往復書簡 ■旅猫雑貨店 路地裏縁側日記 ■海ねこ的 日々の暮し ■森茉莉街道をゆく ■山崎阿弥 ■サイコ☆ヒステリック 徒然日記 ■穴熊 日記 ■だらだら放談 ■鈴木創士 ■安柊有人(@sosi-suzu)・Instagram ■西谷修―Global Studies Laboratory(GSL) の後継ブログ ■nibuya(@cbfn) ■so_kusumori ■楠森總一郎 EROS VERSUS ■hirose tadashi|photographer ■kizashino ■きざし乃 栞 ■do-do ■スローラーナー ■muttnik ■やっぱりモダニズムが好き! ■かめ設計室 ■建築ノ虫 ■ご近所の日々 ■素人魂~特濃魚汁~ ■素人魂@いたちょ ■胡乱亭 ■梟通信~ホンの戯言 ■左平次(@saheiziinokori) ■花も嵐も踏み越えて鉄道人生44年 ■PAPERWALL ブックデザイナー日下潤一の日々 ■daily-sumus3 ■藤原編集室 ■退屈男と本と街 ■古本屋ツアー・イン・ジャパン ■okatakeの日記 ■ギャラリー ときの忘れもの ■ときの忘れもの@twitter ■銀座レトロギャラリーMUSEE ■痩せたり太ったり ■橋場一男 ■Tracy Talk・・・ ■Unknown Pleasures ■メグブログ 美咲歌芽句 ■亜湖公式サイト ■五月真理矢写真館 ■ヒゴヒロシ ■坂本弘道公式サイト ■三信ビル保存プロジェクト ■逗子なぎさホテル ■わき道にそれて純喫茶2 ■アトリエ プティカ 最新のコメント
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||