2006年 10月 23日

「映画裏方ばなし」読了

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 作者は23年生まれ、東宝舞台部で小道具製作や舞台背景係の後、50年から
78年まで東宝撮影所美術課に勤務した映画美術家。製作現場での興味深い
エピソードが綴られている。

 成瀬巳喜男の「流れる」のロケハンで花柳界を訪ねたとき、芸者屋の前で
スケッチしていたら、掃除のあとで入り口の三和土に三角の山にした塩を
三つ並べている。
 「芸者屋のセットのとき、夕方やること」とメモしたけれど、何故そうする
のか理由が解らなくて、芸者屋の下地っ子やおかアさんに聞き、ようやく検番の
おとウさんから由来を教えてもらう。

 由来は楊貴妃にあった。宮中に上げられた楊貴妃は、まず玄宗皇帝の目を
自分に留めさせることから始めなければならなかった。なにしろライヴァルが
多くて、気づいてもらうまでが大変である。

 玄宗皇帝は愛妃たちの房を廻るのに牛車を使用する。行き先を選ぶのが
面倒なので、牛が立ち止まった房に入るのである。
 それを聞いた楊貴妃は、自分の房の入り口に塩を盛って置いた。牛が塩を
なめたがる性質を知っていたので。
 牛はやはり楊貴妃の房で足を止め、玄宗皇帝は会う度に彼女の魅力に惹かれ
楊貴妃は愛妃の頂点に達した。

 という盛塩縁起。古本屋に適用は無理でしょうね?
                      (鈴木一八 講談社 80初帯)
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by byogakudo | 2006-10-23 13:35 | 読書ノート | Comments(0)


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