猫額洞の日々

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2005年 08月 08日

なかなか傑作

の部類ではないか、「ハイーライズ」(バラード ハヤカワ文庫 80初)は!
むかし読んだときの記憶よりずっとよかった。最近の痩せた作品と、無意識裡に比較
しているのかも知れないが。
 
 超高層集合住宅を舞台にしたカタストロフィ。社会的階層がそのまま上中下階層に
住まうハイ・ライズで、ある日を境に全員が幼児退行する。生ゴミのヴィニル袋は
廊下・室内に満ち、他者から身を守るバリケードや身体と心を寛がせるクッション
になる。自己充足的な幼児の王国に住む彼らはビル外との隔絶を求めて、誰も
エレヴェイタや配管の修理を呼ばないから、ビルは人々の心身の荒廃と歩調を揃えて
スラム化する。そしてみんな死んでいく。隣に建つハイーライズでも停電が起こり
次の廃墟と幼児後退者の群れとが準備される。

 暗くて妙に心地よい世界だ。いちばん好きなのは「ヴァーミリオン・サンズ」だが。

 
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by byogakudo | 2005-08-08 15:42 | 読書ノート | Comments(0)


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