2006年 11月 02日
(写真はクリックすると拡大します。) ~11月01日より続く 素敵だ、素晴らしいと叫ぶだけで、あれではどう素晴らしいのか伝わらないと、 昨夜寝床で反省した。 「月が昇るとき」は主人公が13歳のときに起きた連続猟奇殺人事件の話である。 彼は11歳の弟とともに事件の解決に活躍する。これがメイン・プロット。 陰惨な事件なのにできごとの描写はあくまでも淡々と記され、日本語の過去形 語尾「た」の連続が、街を流れる川のうねりのように通奏低音を奏でている。 __せめてこれだけでも付け加えないと、何の話だか解らない。 もう大人になった主人公が少年期を振り返って語って行くのだが、両親を亡くし 兄夫婦の元で暮らす思春期の少年たちの感情・行動の優しさ、賢さが素敵だ。 彼らは、兄夫婦が眠った頃、2階の窓からそっと抜出して夜の街を探検に出向く。 昼間とは表情を変えた夜の街の魅力や恐怖、夫婦仲の悪さにも敏感な思春期の 少年たち、美しい下宿人への思慕、変人の骨董店主等々、ほんとにチャーミングな 小説である。 さて、昨夜は「サンタクロース殺人事件」読了。こちらはクリスマス・ ファンタジー、しかもシンデレラまで登場するファンタスティック本格探偵小説。 そんなことが可能かしらと思って読み出したが、全くこの通りだった。 さわやかで愛らしい、お伽噺風本格。 (ピエール・ヴェリー 晶文社 03初帯) お師匠さんは、どうしてこんなにわたしの好みがお判りなのだろう。
by byogakudo
| 2006-11-02 12:27
| 読書ノート
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