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猫額洞の日々

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2006年 11月 02日

「月が昇るとき」に追加と「サンタクロース殺人事件」読了

「月が昇るとき」に追加と「サンタクロース殺人事件」読了_e0030187_12262836.jpg














 (写真はクリックすると拡大します。)

~11月01日より続く

 素敵だ、素晴らしいと叫ぶだけで、あれではどう素晴らしいのか伝わらないと、
昨夜寝床で反省した。

 「月が昇るとき」は主人公が13歳のときに起きた連続猟奇殺人事件の話である。
彼は11歳の弟とともに事件の解決に活躍する。これがメイン・プロット。
 陰惨な事件なのにできごとの描写はあくまでも淡々と記され、日本語の過去形
語尾「た」の連続が、街を流れる川のうねりのように通奏低音を奏でている。
 __せめてこれだけでも付け加えないと、何の話だか解らない。

 もう大人になった主人公が少年期を振り返って語って行くのだが、両親を亡くし
兄夫婦の元で暮らす思春期の少年たちの感情・行動の優しさ、賢さが素敵だ。
 彼らは、兄夫婦が眠った頃、2階の窓からそっと抜出して夜の街を探検に出向く。
昼間とは表情を変えた夜の街の魅力や恐怖、夫婦仲の悪さにも敏感な思春期の
少年たち、美しい下宿人への思慕、変人の骨董店主等々、ほんとにチャーミングな
小説である。

 さて、昨夜は「サンタクロース殺人事件」読了。こちらはクリスマス・
ファンタジー、しかもシンデレラまで登場するファンタスティック本格探偵小説。
 そんなことが可能かしらと思って読み出したが、全くこの通りだった。
さわやかで愛らしい、お伽噺風本格。
     (ピエール・ヴェリー 晶文社 03初帯)

 お師匠さんは、どうしてこんなにわたしの好みがお判りなのだろう。

by byogakudo | 2006-11-02 12:27 | 読書ノート | Comments(0)


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