2006年 12月 15日
ギャラリーの扉に黒い布がかけられ内部は窺えない。中に入ると照明は消され、 作品自体の放つ灯りしかない。正しくいえば、写真を裏打ちしてある薄い紙状の 発光体を電源につなぎ、作品の内側から照明する。(この説明でいいのかしら?) 宇治晶氏の作品は、照明があると映り込みやすいから、これはよい展示方法だ。 個展会場が教会にも、青い灯りが所々にあるキャバレにも観えてくる。教会建築を 知らないので正確ではないが、白百合の側廊を従えた睡蓮の身廊にも、 怪しい気配をかもし出すキャバレとも感じさせる。 宇治晶氏は古典(普遍)を志向する。数は万国・万人に共通する言語であり、 いつの世にも変わらないコードである。数の中でも虚数は、現実には存在しない のに、やはり基本言語として応用・流通する世界である。 彼の写真は、その虚数世界にこの世のもの(オブジェ)が存在した場合、 どう見えるかを、三次元世界の住人たちに見せてくれる。 虚数の世界も、この世の花(睡蓮や百合)も、将来的に変化しない。いくらか 品種改良されて花の色や形に違いが生じたとしても、睡蓮も百合も、睡蓮であり 百合であることは変わらない。 宇治晶氏は、作者個人をできるだけ離れ去ることを望んで、数の世界に赴いた。 そこで観られるものは、見る側の個々人によって異なる。作品の総タイトルが inside your mirrors と複数形であるのは、そういう訳だった。 宇治晶展 ギャラリーQ
by byogakudo
| 2006-12-15 20:46
| アート
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