猫額洞の日々

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2005年 08月 13日

続 森家の方へ

 広い居間の左奥にかかっている2枚の絵が、妙にこころを惹きつける。森氏に
訊ねると、小西真奈という若い女性アーティストだそうだ。去年 初台オペラシティ
(まったく余談だが、これも憎んでいる建物。全館 嘘ばっかりと言いたくなる。
薄いあたまで計算された安普請のビルだ。)でも個展が催され、若い人々に人気が
出ているらしいが、そうだろう。今の空気が存在している。
 
 2枚とも、ハレーションを起こしたような緑の草原や、公園の芝生に? 人物が
1、2名描かれている。草原に後ろ姿を見せる若い女性も、芝生に横たわる若い
男女も、世界と無関係にそこにいるような不安感と同時に、ナルシスティックな
感情移入をもたらす。
 
 いや、表情がよく窺えない人物が感情移入させるのではない。トイレットに
かけられた風景画(新宿御苑の桜を撮った写真から描いたらしい)でも同じである。
ありふれた景色が揺らぎを見せ、別の場所・別の時間が存在を始める。まさに その
瞬間が定着され、見る者は新しい(Aに対してA'であるような)世界へと誘われる。
不安と孤独との緊張をたたえ、クールで甘美な自己陶酔ももたらす この世界は、
エドワード・ホッパーも思い出させるが、あくまでも今の日本の自画像だ。

 現代作家の作品を愉しむとは、こういうことなのかと少し解った気になる、森家
訪問だった。感謝。
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by byogakudo | 2005-08-13 15:02 | アート | Comments(0)


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