2007年 02月 15日

「きつねのはなし」を半分ほど

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 (写真はクリックすると拡大します。)

 お師匠さんからお借りしている「きつねのはなし」(森見登美彦 新潮社
06初帯)を半分くらい読む。
 ティベリウス金貨を廻る怪奇譚「三人の詐欺師」(アーサー・マッケン
牧神社 76再函)みたような構成の連作短編集だ。こちらは金貨ではなく
張子の狐面が各編に出没する。
 ときどき文章がもたつくのが気になるが、それはさておき、重箱の隅
探検家が登場すべき箇所を発見。

 第2章「果実の中の龍」に、先輩の下宿シーンがある。本好きで風変わりな
大学の先輩を訪ねると、先輩は四畳半の下宿を二部屋借りて暮らしている。

 一部屋が図書室、もう一部屋が生活するためのスペースで、図書室は窓も
潰して三面が本棚、もちろん畳にも本が山積、隙間に小さな文机があるだけの
<居心地の良い牢獄>風である。

 となりの生活空間は、その真反対。
<・・・家具がないために、染みのある薄汚い壁がむきだしで、ひどく寒々しい。
 ・・・こちらはまるで座敷牢のようである。盗まれるようなものは何もないと
 先輩は言い、鍵さえかけなかった。>(p96)

 ところで、p81~82にかけて先輩と二人で銭湯に行く場面があるのだが、
< 先輩の下宿の隅には、丸い木桶が置いてあり、そこには入浴道具一式が
 入っている。・・・下宿の鍵をかけながら、「風呂だ風呂だ」と、先輩は
 歌うように言ったものだ。>

 いったい先輩は下宿に鍵をかけるのか、かけないのか。本は大事だろうから
図書室には鍵をかけるかも知れない。しかし、図書室に風呂道具を置くだろうか。
 置くとしたら生活用の部屋だろうが、そうすると<鍵さえかけなかった>記述に
背理する。二律背反を解く、何か他の解釈はできないかしら?
         

 もしかしてと思って公園を覗くと、ヴェロニカの青い花がちらほら見えた。
いつもなら3月に入ってようやく咲くのに、ひどい暖冬だ。おかげで春先の
ざわざわした鬱陶しさにもう悩まされている。日射しのきらめきに、心が不安定に
なる。いやな季節だ。
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by byogakudo | 2007-02-15 13:06 | 読書ノート | Comments(0)


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