2007年 03月 11日

「メリー・ウィドウの航海」読了

e0030187_152199.jpg









 (写真はクリックすると拡大します。)

 原書は59年、翻訳が60年である。探偵小説も時代とともに変遷する。
28年刊のノックス「kou門の足跡」には、第一次大戦後の幻滅の時代に
育ったデカダンきどりの青年が出てくるが、59年のニコラス・ブレイク
作品では第二次大戦後のなまいきな十代、パブリックスクールの少年や
当時の流行、若き精神分析学の徒である少女等が描かれる。
 
 ノックスの時代のようにヒューマーを持って探偵小説を書き続けることが
困難になってしまったのか、あるいはニコラス・ブレイクの性格なのか、大変
シリアスなトーンが基調である。

 暗い話もきらいではないが、登場人物ほとんどが感じが良くないのには
閉口する。好感の持てない連中がギリシャの島巡りクルーズに集い、小説の
半分まで何も起らずに、感じの悪いまま紙面をうろうろしてサスペンスを
高めてくれる。誰が被害者で誰が加害者になろうと、もういいよと思いながら
読み終えた。

 最後の謎解き場面でもカタルシスは起きないし。トリックに無理があるのは
まだいい(よくないと、本格推理ファンは言うだろう。わたしは気にしない
方ではあるが、それにしても無理なトリックだ。)としても、試練を経て
少年少女たちも少し大人になったということらしいが、納得しがたい。
 ミステリって後味が大切なんじゃなかろうか。
      (ニコラス・ブレイク HPB 60初)
[PR]

by byogakudo | 2007-03-11 14:57 | 読書ノート | Comments(0)


<< 「奮闘」読了      「kou門の足跡」読了 >>