猫額洞の日々

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2007年 03月 21日

「メグレ間違う」を読み始める

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 (写真はクリックすると拡大します。)

 次は53年刊の「メグレ間違う」(ジョルジュ・シムノン 河出文庫 00初)。
ブルジョアたちの住む、落着いたアパルトマンに囲われていた若い女が殺される。
警察が見つけた彼女の「宝もの」箱の描写:

< それは白いボール紙の靴箱で、・・・。その中身はメグレに、田舎や貧しい
 人のところでよく見かける<宝もの>を思い起こさせた。結婚手帖、黄ばんだ
 手紙、ときには質屋の借用証。必ずしも箱とは限らず、来客用のスープ鉢とか、
 ジャム壺に入っている。>(p66)

 それから彼女の写真や父親からの無心状が紹介されて、
< メグレは他の手紙は見ず、写真だけをながめた。ほとんどは縁日のとき
 とったもので、ルイーズ(注:殺された女)一人のもあったし、ピエロ(注:女の
 恋人)と一緒のもあった。・・・
  あとはがらくたで、やはり縁日の景品の陶器の犬、灰皿、ねりガラスの象、
 それに紙の造花までとってあった。>(p68)

 所有者にとっては意味があっても他人の目にはがらくだでしかないオブジェの
数々。殺されたルイーズの貧しい出身や夢が窺われる場面だ。うつくしい。
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by byogakudo | 2007-03-21 13:18 | 読書ノート | Comments(0)


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