猫額洞の日々

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2007年 05月 10日

「人生エンマ帳」瞥見

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 (写真はクリックすると拡大します。)

 小説「苦心の学友」や「ガラマサどん」は読んだことのある佐々木邦の
随筆集「人生エンマ帳」(東都書房 63初 函)を斜め読みする。

 K夫人から佐々木邦は猫を飼っていたと伺った。もしかして猫エッセイを
書いていたら「ねこ新聞」にお知らせしよう。

 ところが出て来ない。まるきり登場しないのではなく、所々に顔を出す
のだが、ちらと顔をのぞかせたきり退場してしまう。
 『余技閑談』に絵を習い出す話がある。
< 第二年目ぐらいだったと記憶するが、私はある日、衝立(ついたて)に
 松を描いた。(中略)裏には梅に雀を試みた。地這いの雀がよく出来たと
 思っていたら、階下から猫が上がって来て、その雀を引っ掻いた。私は
 猫を抱いて行って家内に渡した。
  「おい。猫が飛びついたよ。」
  と大騒ぎになった。決して鰹節の汁を入れて描いたのではない。ただし
 その猫は特別に利口な猫だった。>(p54)
 ここで猫のエピソードは終り次の話に移る。絵の話が眼目とはいえ残念だ。

 猫はともかく、随筆集として落着いたタッチが気持よい。英米文学者
らしいヒューマーと苦みがあって、タイプは異なるが長谷川如是閑をふと
思い出した。
 今はもっと派手にドタバタした文体でないとウケないのだろうが、
箇所箇所に、ちらっとおかしみを混ぜる文脈に読み従っていると、何となく
いい気持になれる。  
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by byogakudo | 2007-05-10 14:41 | 読書ノート | Comments(0)


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