2007年 05月 22日

「風信子の家」読了

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 (写真はクリックすると拡大します。)

 ヒアシンスも好きな花のひとつだ。カタカナで書いても漢字で風信子と
あっても、どちらもあの透明感が伝わってくる。

 そんなロマンティックな心情を見事に打ち砕いてくれたのが山田風太郎
のエッセイ(どのエッセイ集だか忘れた)。風太郎はある日、俳句雑誌を
見ていたらしい。そこで発見したのが、<病人の氷枕やヒアシンス>なる
俳句だ。あとにどうしても<ア、コリャコリャ>と付けたくなる怖るべき
迷句である。
 以来しばらく、都営住宅の庭に可憐に凛とした立ち姿を示すヒアシンス
を目にするや否や、かの迷句も立ちのぼってくる症状に悩まされた。

 という悲しい過去はさておき、「風信子の家」(篠田真由美 東京創元社
07初帯)です。立原道造「ヒアシンス・ハウス」+中井英夫「虚無への
供物」で書いたそうだが、被写界深度が浅い印象を受けた。

 心理分析ミステリなのかも知れないが、推理の前提となるデータを会話で
やり取りする場面なぞ、いくら本郷界隈の古い木造住宅であっても、90年代
の話である。ぎくしゃくした感じがつきまとう。もっと大時代な設定なら
気にせずに読み飛ばせたのだろうが。

 短篇・中篇をまとめた1冊であるが、どれにも同じような印象・不満を
抱く。表紙や各篇に1点ずつ添えられた今様イラストレーションが好みに
合わなかったという理由もあるかも知れない。

 そういえば「虚無への供物」を読んでなかった。いつか元気のある時に
トライしてみる? でも、中井英夫・赤江瀑・河野典生は我が三大鬼門だ。
こそばゆい系三雄である。
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by byogakudo | 2007-05-22 14:47 | 読書ノート | Comments(0)


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