2007年 07月 03日

「生還者」読了

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 (写真はクリックすると拡大します。)

 森茉莉の感想文(むしろ引用集だが)の続きがあるが、昨夜お師匠さんから
お借りした「生還者」(保科昌彦 新潮社 07初帯)を読み終えたので、記憶に
ある内に書いておかなければ、すぐ忘れる。書いてもすぐ忘れることに変り
ないが、書いてあれば読み返して「そんな本も読んだっけ」と少なくとも
確認はできる。確証ではない。

 だが、その前に今日のビッグニューズ。美咲歌芽句公式サイト7月3日付けを
どうぞ。タイトルは「雲上からの葉書」。
 「荒涼天使たちの夜」と朗読(バンドとともに)CDを白石かずこに
贈ったら、葉書でお礼状をもらったとのこと。芽句、よかったね! 最近
いちばん嬉しい話だ。

 さて「生還者」は、「舞踏会の手帖」形式によるサイコ・サスペンス。
文体も構成もしっかりしていて手堅い。もう、まずい日本語でさえなければ
何だっていいとまで思い詰めているので、まともな日本語で書かれている
だけで有難い。

 山崩れで70時間も生埋めになっていた宿泊客6人が、奇跡の生還から半年後、
ひとりずつ不審な死を遂げていく。生還者のひとり、孤独な図書館司書の青年
が、生き残った他の生還者を次々に訪ね歩くという展開である。
 地味で落着いたタッチで進行する。欲を言えばもう少しブリリアントな
感触あるいはケレン味もあれば、もっと好きになれそうだが、贅沢は言うまい。

 ただ、巻末の引用・参考文献を見ると、作者はクリスチャンではなさそうで、
エンディングの堕天使と青年(全き善でも悪でもない、人類の代表であろう)
との対話場面は、やはり弱いと感じる。堕天使の言葉も青年の言葉も浅くて、
二項対立の緊迫感がうすい。ここはもっと沈潜してもらいたかったな。

 ところで、近ごろの小説には大抵、巻末に引用元・参考文献が挙げてある
けれど、これはトラブル回避ということだろうか。研究論文なら参考資料を
列挙するのも解るけれど、小説の場合、どうなのだろう? いろんな本や
資料を読んで消化した結果が小説になるのだから、もし参考文献を挙げるなら
それこそ、幼児期からの読書記録が必要になるのではないかしら。
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by byogakudo | 2007-07-03 13:02 | 読書ノート | Comments(0)


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