猫額洞の日々

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2007年 07月 14日

カサックからシムノンへ

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 (写真はクリックすると拡大します。)

 昨夜「殺人交差点」(フレッド・カサック 創元推理文庫 79初)を
読み終え、「メグレと口の固い証人たち」(ジュルジュ・シムノン
河出文庫 00新装初)に移る。

 「殺人交差点」も出来のいい倒叙法サスペンス__被害者の遺族と
殺人者が交互に語る形式で、途中あっと言わせるしかけがある。__
だが、もう1篇「連鎖反応」のカッコよさと言ったら、最近のベスト
ではないかしら。

 カサックは映画化された(見てません)「日曜日は埋葬しない」も
書いているが、「連鎖反応」もシナリオを読むような愉しさがある。

 すてきな同僚と婚約したので、愛人と手を切ろうとした男、別れ話を
切り出したら「赤ちゃんができたの」と逆襲され、二つの関係を両立させる
ために腐心するのだが・・・。

 悲喜劇をコミカルに軽々と描いてのける、腕のよさを堪能した。
一例を挙げれば、愛人と知り合ったのが「陽のあたる場所」をやっていた
映画館。
<実に悲劇的な映画だった。モンゴメリー・クリフトが、初めシェリー・
 ウィンターズと寝るが、その後エリザベス・テーラーに会い激しい恋に
 陥る。モンゴメリー・クリフトはシェリー・ウィンターズに言い出せない
 まま、エリザベス・テーラーと婚約してしまう。その間にシェリー・
 ウィンターズは妊娠する。最後にモンゴメリー・クリフトは、自分の
 結婚を脅かすシェリー・ウィンターズを溺死させる__あるいは溺死する
 のを見殺しにする__のである。ジルベール(注:主人公)はシェリー・
 ウィンターズを憐れむという点でモニク(注:愛人)と共鳴した。彼は
 モンゴメリー・クリフトの行為を恥知らずと非難し、電気椅子送りに
 なるのを肯定した。彼のまじめな心にうっとりとなって、翌日、モニクは
 彼に身体をまかせたのだった。>(p189)

 まるでわたしが要約したような文章だが、ほんとにこう書かれています。
ドライなヒューマーが最後まで続いて、すてきなオチがつく。
 お師匠さん、「日曜日は埋葬しない」(ハヤカワミステリ)を持って
いらっしゃらないかなあ。フレッド・カサック、いいです!

7月18日に追記~
2017年1月15日へ〜

 今週の新着欄です。偏愛の1冊とは、「絵本ヨーロッパ 舞台装置家の眼」
(吉田謙吉 美術出版社 54初 函欠)。1954年のヨーロッパ旅行です。パリでは
1ヶ月余りの滞在中、<旅行者として過すことより、暮す気持で過そうと
努め>て、エプロンや黄色い羽ばたきや、黄色地に赤と黒のGITANES印・
家庭用大型マッチ等を、買っています。
 新着欄
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by byogakudo | 2007-07-14 15:00 | 読書ノート | Comments(0)


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