2007年 07月 17日

「ひよこはなぜ道を渡る」読了、そして又

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 昨夜、文庫本を読み終えてから、又してもエリザベス・フェラーズ
「嘘は刻む」(長崎出版 07初帯)に取りかかる。文庫本「ひよこは道を
渡る」はコメディ・タッチ、単行本のこちらはサスペンスである。

 歩く自白剤みたいな主人公だなというのが、半分くらい読んでの
感想だ。イギリスの田舎町に住む家具デザイナが殺され、七年振りに
女友だちを訪ねてきたオーストラリア帰りの主人公が、心ならずも
という設定で、巻き込まれる。彼がさっさとロンドンに戻ってしまっては
事件が記述できないことだし。

 女友だちは勿論、関係者全員が、彼に何かと訴えかける。初対面なのに。
相手に信頼感を与えるキャラらしい。みんなそれぞれ隠し事がありそうで、
狭い田舎町で、元・都市居住者ばかりの狭い人間関係の間で、何かあった
のでしょう。もやもやと、それでも少しずつ話は進んで行ってる様子。

 「ひよこはなぜ道を渡る」では、主人公・トビーが若いアンソニー・
パーキンス風?の男の子をからかうギャグが繰返される。
<十八歳のビリーは背が高く、痩せこけ、猫背で、両手をだらりと垂らして
 いた。(略)青年はネルのズボンを穿いていた。蜘蛛を思わせる身体には、
 古ぼけた灰色のセーターがだらりとかかり、その襟元はほつれて
 ちりちりの毛糸が胸元まで垂れている。>(p136-137)
 「サイコ」の パーキンスを思い出しませんか? もっとも、本は42年の
出版。こちらのビリー君のママも圧制型で、40-50年代はニューロティック
が流行りだったのだろう。

 ビリーのセーターの胸元はトビーに会う度に引っ張られて、目を減らして
いく。
<「毛糸を引っ張らないでくれよ」青年は言った。「全部ほどけちゃうじゃ
 ないか。これ、昔から着てて、気に入ってるんだから」>(p141)
 
 「嘘は刻む」には、当然こんなコメデイ・タッチは皆無です。フェラーズは
喜劇的なシチュエイションで書くひとかと思っていたが、そればかりでは
なかったと解る。
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by byogakudo | 2007-07-17 13:35 | 読書ノート | Comments(0)


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