猫額洞の日々

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2007年 07月 23日

「鹿男あをによし」読了

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 (写真はクリックすると拡大します。)

 上手だったと書くと、生意気で無礼な響きだが、ほんとに巧い小説家
だと思う。

 東京で大学の研究室にいた青年が、人間関係のトラブルで奈良の女子高
の臨時教師として短期赴任する、「坊ちゃん2007」。赴任先での出来事等、
かなり「坊ちゃん」の下敷き通りに展開していると思うが、なにせ元版を
読んでいないので保証はできない。

 青年の生家は鹿島大神宮を信仰していて、その大神宮と奈良の春日大社
とは神様同士、関連がある。そこから民俗学的ファンタジーになる訳だが、
青年は奮闘せざるを得なくなる。地球規模とまでは行かなくとも、日本に
大災害が起りかねない事態に巻き込まれるのだ。その間、女子高対抗の剣道の
試合なんて青春小説風味も同時進行する。

 エンディングはどうするかと期待していたら、ファンタジーというより
お伽噺的に甘くさわやかに終ってくれた。なかなか綺麗。

 ただ、近ごろの小説は、みんな世界の危機が物語の基点にないと書いちゃ
いけないのだろうか? たしかに地球は危機的状況にあるし、日本の閉塞感は
強いし押しつぶされそうな気分が蔓延しているけれど、小説ではなく大説型が
目につく。危機型ファンタジー? それともファンタジーは不安の時代に
書かれるものなのか。
     (万城目学 幻冬舎 07初帯)
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by byogakudo | 2007-07-23 13:21 | 読書ノート | Comments(0)


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