猫額洞の日々

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2007年 07月 24日

「俳風三麗花」読了

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 (写真はクリックすると拡大します。)

 これも巧い時代小説だ。戦前の昭和、1930年代の東京・日暮里
渡辺町での句会を中心に、つかの間の小春日和から第二次大戦へと向う
世相がよく伝わってくる。

 時代小説とは江戸や幕末がメイン・ステージなのだろうが、明治以降・
戦前の昭和まで、もはや時代ものと見なしてもよいのではないだろうか。

 この小説は、向田邦子+久世光彦の世界より少し前を扱っているが、
もうこれらは(「東京タワー」等(読んでいませんが)の昭和レトロ
スペクティヴなぞより)知る人もいない、はるか大過去に属している
のではないか、という気がしてならない。その頃を知る人々が死に絶えた
訳ではないが。

 昭和史の読み替えの風潮とも関係していそうだが、戦前戦中を舞台に
した近ごろのTVドラマなぞを瞥見すると、信憑性の希薄さに頭を抱える
ことがほとんどである。舞台装置や小道具にどんなに凝ってみても、
登場人物の感情表現が嘘くさかったら、それは成立しない。

 三田完「俳風三麗花」(文藝春秋 07初帯)は、まずまず、当時の空気に
ほんとらしさが感じられる。句会に集う若い三人の女たちの心の揺らぎや
諦念が、句会の四季とともに無理なく語られて行く。関東大震災の被害から
ようやく復興し、やがて国内でも戦争が始まるまでの時代状況とのからみも
巧い。

 気になったのは「ひと段落」くらいだろうか。あと、これは東京ネイティヴ
の方にお聞きしたいが、「駒形」の発音は「こまかた」ですか、それとも
ルビにあるように「こまがた」でしょうか? Sに尋ねてもいいのだが、
杉並区出身のネイティヴでは、ちょっと信頼感を持ちにくくって、どなたか
ご教授ください。
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by byogakudo | 2007-07-24 14:22 | 読書ノート | Comments(0)


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