2007年 08月 05日

「十二夜殺人事件」読了

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 (写真はクリックすると拡大します。)

 プレパラトリー・スクール、略してプレップ・スクールの説明が
時々出ていて、日本でいえば中学生にあたる年齢層の子どもたちが
通う全寮制学校、パブリック・スクールへの準備校のようである。

 プレップ・スクールについて主人公の助教師が語る。
<「この種のものは、世界のどこの国にもない、注目すべき、きわめて
 イギリス的制度です。この種の学校が、これから先、この国で永く
 生き残れるかどうか疑問ですが、存続するかぎりは、一級の価値があり
 ますね。(以下略)」(p63)

 この小説では全校生徒50人ほど、みんな政財界の有力者の息子ばかり
だから経営も成り立つのだろう。教師は数名。全員、校内に住む。給料も
悪くないようで、各人のもつ車がコルティナ、ローヴァー、オースティン
1100、二人乗りのロータス・コンヴァーティブル等。
 また写真好きの教師がもつカメラは、ニコンELf1.4の55ミリ、ハッサル
(注:ママ)ブラッド、アサヒ・ペンタックスSV、すべて交換望遠レンズつき。
 原作は1976年だから、車もカメラも当時、かなり高い方ではないかしら。

 英国の田園地帯にある閉鎖的・特権的なプレップ・スクールであるが、
時代の影響は免れがたく、生徒のひとりはイスラエル大使の息子で、大使館が
アラブのテロリストに襲われたニュースに心を傷めたりする箇所もある。
時代とまったく隔絶して、本格ミステリしているわけではない。

 しかし英米ミステリの伝統?は根強く、相変わらず封筒にメモを取っている。
< (注:電話)番号がついに見つかった。封筒の裏側に書いて、飾り棚の上の
 亡くなったモリッツ夫人の写真の後ろに置き忘れていたのであった。>(p273)

 そうそう。これはもしかして「深き森は悪魔の匂い」に用いられた事件
じゃないかと思ったのが、
< 「こういうことは言えないかね」(略)「犯人がちょいと変装していたん
 じゃないかということですよ。ワイト島の変質者のことを覚えている
 でしょう。少年たちの尻を追いかけた男ですよ。やつはきわめてとっぴな
 変装をしていたものでしたが」>(p100)__違うかしら?

 イギリスの階級制度も、やっぱりよくわからないことのひとつだが、
出身大学だけでなく、その前にどこのパブリック・スクールを出たかも、
ある個人の身分や人格までをも推測するデータになると、考えられている
のではないだろうか。各教師たちを説明する箇所で、
<ケンジントンのリセーおよびロンドン大学で教育を受ける。>(p211)とか
<チェルボローおよびケンブリッジ出身。>(p212)
<一九四五年にウェリントンを出、大学に入りそこねて(以下略)>(p215)
と紹介される。

 「空高く」の方が面白かったかな。学生演劇の「十二夜」の使われ方も
効果的らしい様子は感じられるけれど、「十二夜」、読んでいません。
     (マイケル・ギルバート 集英社文庫 83初)
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by byogakudo | 2007-08-05 13:03 | 読書ノート | Comments(0)


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