猫額洞の日々

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2007年 08月 08日

「spin 02」より「幻脚記 二 青空」を読む

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 (写真はクリックすると拡大します。)

 「spin 02」に掲載の鈴木創士氏「幻脚記 二 青空」を読んだ。「01」の
「幻脚記 一」はエッセイであったが、今回は短篇小説である。

 「行きはよいよい、帰りはこわい」というリフが効果的に使われる、やや
内田百鬼園風味も感じられる怪奇幻想短篇だ。最後の、地面に開いた穴に
出現する青空のシーンで、ふと鈴木清順「ツィゴイネルワイゼン」で
原田芳雄が地獄を見つめるカットを思い出した。三段に積み重ねられた強化
ガラスの下から仰って撮られた青空__たしかに青空が切り取られていたと
記憶するのだが。

 キリスト教の三位一体思想がモティーフとして出現する。
 主人公を含めて登場する、三人の青年。
 青年たちが落ち合う神社にかつて存在した三つの鳥居は、上から見ると
正三角形を成す。二つは壊されて土台しか残っていない。三つの鳥居を
それぞれ過去・現在・未来に当てはめると、生死が自在に往還するのを防ぐ
ために、現在を意味する鳥居だけ残して破壊された、という解釈も可能で
あろうか。

 なぜか神社の中にある、天正遣欧少年使節団のひとり、中浦ジュリアンの
(偽の)墓の件り(p57下段)
<キリシタンの墓が空っぽなのは、エルサレムにあるキリストの墓がモデル
 になってるからだよ、すべては悪夢のなかで相似形をなしているんだ>
 生と死は取っ組み合い、反転し合いながら、地上にその映像を投影し続ける。

   (みずのわ出版 07年8月1日)
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by byogakudo | 2007-08-08 13:36 | 読書ノート | Comments(3)
Commented by 美咲歌芽句 at 2007-08-08 22:21 x
以前、聖地巡礼の旅をした際奈良の大神(おおみわ)神社を訪れ、その神々しい雰囲気にいたく感動し摩訶不思議な感覚に襲われました。大神神社といえばあの有名な三つ鳥居です。そしてそこで私にいくつかの和歌が降りてきました。それらはすべて奈良の天河神社に奉納しましたが。三つ鳥居にはキリスト教の三位一体思想が反映されているとも聞いています。古神道に興味を持つ私にとっても非常に興味深いものがあります。
Commented by ES at 2007-08-09 04:48 x
僕も天河神社に行ったことがあります。
Commented by byogakudo at 2007-08-09 16:56
芽句さま> 3って不思議な数字ですよね。1点と別の1点とを
     結んでも直線のまま。さらにもう1点が存在して
     3点をつなぐ三角形になって、ようやく行為の場が
     得られます。

ESさま> また小説を読ませてください。


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