猫額洞の日々

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2007年 08月 14日

「銀漢の賦」を読み始める/「幻脚記 二」に追加

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 (写真はクリックすると拡大します。)

 そろそろお借りした本を読まなくっちゃ。読みかけの戦時中ミステリは
止めて、葉室麟「銀漢の賦」(文藝春秋 07初帯)にした。第14回松本清張賞
受賞作。時代ものです。

 ある藩の武士ふたりと百姓ひとりとが少年時代に知り合う。ときは移り
三人の立場は変り、藩政の変転に巻き込まれ、それぞれが己を全うしながら
生きる・あるいは死ぬ話と予測する。外れていたらあとで訂正するだけ。

 江戸時代の既婚婦人は全員、眉を落とすと思っていたのだが、そうでも
ないのだろうか。少年時代の主人公(武芸好き)が、友人になる少年
(こちらは文武両道、どちらかといえば文のひと)の母親を見たときの
描写がある。(p17)

< 少年の母親は二十七、八だろうか。色白でほっそりとしているところが、
 少年とよく似ていた。よく梳(す)いて黒々とした髪を島田に結っている。
  眉を霞に浮ぶ弓張月のように描き、きりっとした口もとに清楚な色気が
 あった。白地の薩摩上布に麻無地の帯をして、涼しげな姿だ。>

 少年時代を回想しているから「清楚な色気」と言ったりしている訳で、
主人公が少年時にそう感じたのではないでしょう。そこが問題ではなくて
「眉を霞に浮ぶ弓張月のように描」いてあるところに疑問を抱いた。

 彼女は未亡人で、残された息子とふたりで暮している。未亡人であっても
既婚者には変わりないから、眉を剃りお歯黒を施してるんじゃないかと
時代小説にうとい人間は考えるのだが、実体はどうだったのだろう?


 8月8日付けブログに、書き忘れていた。鈴木創士氏「幻脚記 二 青空」
でいちばんすてきなのは、最初の方、消したつもりでポケットに入れた吸殻
から煙が出てると指摘されるところ。ボリス・ヴィアンの短篇にも通じる
軽やかなかなしさが伝わってくる。
 わたしはいつも肝心なことを書き落とす。
 
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by byogakudo | 2007-08-14 13:24 | 読書ノート | Comments(0)


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