猫額洞の日々

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2007年 08月 15日

「銀漢の賦」読了

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 (写真はクリックすると拡大します。)

 話は昨日の予測通りに展開した。わたしはあまり時代小説向きの人間
じゃないなと、予想通り思う。

 江戸時代の武士はつまり官僚である。主人公は下級官僚、友人は高級
官僚。それぞれ自分なりに、与えられた仕事を遂行しようと努力する。

 友人の方は、エリートとして藩政に力をふるうために、政争にも首を
突っ込まざるを得ない。主人公は、いま、ここで可能な仕事をするだけ
と心得て生きている。「プロジェクトX」みたいな川の井堰工事あり。

 少年時代の友だちである百姓と、役人になった二人は一揆の処理問題で
再会する。高級官僚氏は、自分の立場を保って藩政に関わり続けることを
選び、一揆の代表者である友人を処刑する。「泣いて馬謖を斬る」って
いうのですか?

 主人公は助ける力をもたない代わりに、彼の遺族(妻と娘。ふたりとも
美人)を引き取り、自家の召使いに雇ってやる。無口な性格で、自分の妻
にも事情を説明しないものだから、妻は女中といいながら妾を引き入れて
るんじゃないかと疑う。ひとこと言ってやればすむのに、「男は黙って」
美学の信奉者であるようだ。

 終り近く、藩政を誤らせないためにエリート官僚(家老にまで到達)は
脱藩して江戸に向かおうとする。それを助ける主人公と百姓の(友人の)
娘の三人が、藩の反対勢力から差し向けられた武士たちと争うアクション・
シーンがある。
 鉄砲の玉込めもできる活発な娘が参加しているので、「リオ・ブラボー」
のアンジー・ディッキンソンかと思っていたら、日活アクションの松原
智恵子の役どころだった。がっかり。
     (葉室麟 文藝春秋 07初帯)
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by byogakudo | 2007-08-15 14:31 | 読書ノート | Comments(0)


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